見たもの、思うこと。

シロウト、だからこそ。『知ろうとすること。』

投稿日:2023年9月9日 更新日:

タチの悪い、「安心のために」「良かれと思って」なデマが未だになかなか収まらない中、「事実」のみを積み上げ「何がだめで、何がいいか」「何を怖がり、何を恐れないか」「情報に対する正しい姿勢」について考え、行動することが大切だと改めて思った。

放射能コワー!!

で、原発周辺はおろか、東京や神奈川から関西・九州・沖縄などへ「逃げろー」と「自主避難」された方々。

これは常識と言っても良さそうだが、関西は地質的に花崗岩の量が多く、自然放射線は関東より多い。

そう思うと「とにかく怖い」というヒステリーからくる拙速な判断でそこに「子供を守れ」とか「日本の未来が」とか「政府が隠すから」みたいな、まるでイデオロギーのような大義名分めいたスローガンがまぶされてしまい「逃げる私、えらい」という棚の上に登ってしまっている人らって、けっこういるんだろうなぁ、なんて思ってしまう。

それだけならまだしも、さらに「逃げない奴はバカ」が乗っかってしまってる(ように見える)人すらいる。

東大の先生で(もちろん仕事場は東京にある)、福島まで何度も何度も通っているような人がいるのに、なんでアンタがそんなとこへ逃げて「安全だ。」みたいな顔してるのか、よくわからんよ。

ましてや「牛乳にはヨウ素が。給食をボイコットしよう」みたいなことを、「正義の運動」として未だにやってる。

例えば問題になっている、「放射能のせいで、甲状腺ガンの子供が増えている」という言説。
これについて「ああ、やっぱり」とか「ほれ見たことか」とか、鬼の首とったような感じの人もまだいるみたいだ。

「甲状腺ガンが増えている」と言われる背景には「高性能な機械で、調べすぎて発見されてしまった」ことが原因なのだ。
甲状腺癌はガンの中でも進行の遅いガンで、たいていは体にあっても、普通の寿命の方が早く来てしまう。
あるいは、他の原因で死ぬ人の方が多い。調べない方が平和に生きられるパターンの方が多い。

日本学術会議が公表した、
「子どもの放射線被ばくの影響と今後の課題 -現在の科学的知見を福島で生かすために-」と言う報告書がある。

報告
子どもの放射線被ばくの影響と今後の課題
-現在の科学的知見を福島で生かすためにー
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-23-h170901.pdf

ここには、

事故後の数年間で、徐々に影響の有無に関する実証データや個人ベースの線量データが蓄積され、不安解消に向けて進んでいる。他方、甲状腺がんの発見については、福島県「県民健康調査」の集計結果の疫学的解釈と言った科学的な問題とともに、高度な超音波診断を初めて導入した大規模な検査の結果、いわゆるスクリーニング効果の問題や、被験者や家族の心理的影響など医療倫理的な問題が顕在化している。

と書いてある(p.9)。

いわゆるスクリーニング効果の問題

というのがそれだ。

ガンが早期発見されて何が悪い、と思いそうになるが、だからと言って見つかった甲状腺癌が原発事故由来のものとは判断のしようがない。
見つけなくても大丈夫な可能性が高い甲状腺癌をわざわざ見つけ出して、子供の頃から「ガンがあった」とする人生を歩ませることが、本当に良いことなのか、という問題も出てきている。それが

被験者や家族の心理的影響

ってことを指している。

原発事故による放射性物質の広がりから、「福島の野菜は食べられない。作ってる農家は人殺しだ」なんていうめちゃくちゃなことを言ってた人らもたくさんいたという事実。それらが修正され、謝罪され、反省した様子はない。

それが国会議員をやってたりするという現実。

だいたい上にも挙げた「ヨウ素が含まれるので牛乳やめよう」団体も、サイトを見るとまずチェルノブイリのデータをどどんと出して、威嚇していた。
いやいや、比較にならないものまで持ってきて「放射能は死の灰」イメージをつけたくて仕方ないんだなぁ。
福島の事故とチェルノブイリの事故は、質も量も違う。

福島原発の事故由来では今現在、野菜も、魚も、食べ物全般、なんの心配もない。

でも遠くに勝手に自分で実家とかに逃げて(東京で仕事ないだけなんじゃないの?)、「福島にもう人は住めない」なんて平気で言ってる人らがいる。

もうそんなに数は多くないかもしれないけど、そうやって他人を傷つけた、自覚のない人らがいる。

「安全より安心を優先しろ」は寝言か?

↑この回にも書いたかも知れないが、「安全」は客観的な、科学的な基準で見極めることが可能だ。
でも「安心」は、「不安だ」と思えばいくらでも不安になる。

そこへ「政府や東電の隠蔽!陰謀!」、が乗っかってくるともう、無間地獄。
デマを拡散したい人らはある意味、地獄の苦しみを味わっているのかもしれない。
被災地に対する、加害を繰り返しながら。

この本の第4章にある、

「私はちゃんと子どもを産めるんですか?」は素晴らしかったです。
福島の勉強会に出席した早野氏が、中学生の女の子に率直に言われた、と。
「先生、それで、私はちゃんと子どもを産めるんですか」って。

これ、「それで」の部分が重要だ。
つまり安全かどうかの説明は色々あるけれど、とりあえず知識として半減期、原子、とか色々知ることはできた。

「…それで、私は」。

で、けっきょくどーなのよ?っていうことですね。
多くの人が、頭でわかって、心に不安を抱えている。

早野 まずは、自信を持って「はい。ちゃんと産めます」と答えます。躊躇しないで、間髪を入れずに。

これ、いい。
とにかくそうなんだから。
そういう先生に断言してもらえると「安心」する。
そしてそれが、本当なんだから。

何度も挙げる「牛乳やめよう」みたいなことをやってる奈良の団体(場所書いちゃった)は、ああいう不安を掲げて「私たちは不安だ」を延々と、一生やり続けるつもりなのか。多分この本とかは読んでないんだろうし、仕事に乏しい能力の低い煽りたい医者とか学者とかジャーナリストとか市会議員に煽られて、いいようにやられてるんだろうな。

そのサイトの冒頭には

福島の原発事故から6年半が経過しましたが、事故は決して収束していません。また、放射性物質で汚染された食品の流通は拡大していると思われます。

って書いてありましたから。勝手に思うなよ。

ちなみに今さらだが、「放射能」というのは「放射性物質を出す能力」のことで、だから「放射能が付いている」とか「放射能が心配」とかっていうのは、的確な表現ではない。怖がるなら正確に「放射性物質」を怖がろう。

この本は、

まずはここから。「いちから聞きたい放射線のほんとう」。

これを読んだあと、

ああ、これとこれ

も読んでるだが、届いたらスススーっと先に読んでしまった。

知識や教養に関しては、

1、知ったことを活かすこと。
2、知ること。
3、知ろうとすること。

この順番で素晴らしい。
でもまずは一番下から始めましょう、ということでものすごく的確で、素晴らしいタイトルだなぁと改めて思った。

買って読もう。

 

※2019年に書いた記事だったがなぜか丸ごと消えていたので修正し、再投稿しました。







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