スキピオ・アフリカヌス(プブリウス・コルネリウス・スキピオ・アフリカヌス・マイヨル)※Wikipediaより
1992年に初版の、これ。
今頃かお前、と言われてしまうようなものなんですが。
「ローマ人の物語」。
第1巻は紀元前753年〜紀元前509年、共和制より前、の時代を描いています。
紀元前8世紀というと。
中国では殷(いん)〜周。
日本では縄文〜弥生時代。
さらに発達していたギリシャから流れてきた人たちが、ローマを作った。
「すべての道はローマへ通ず」
「ローマは1日にしてならず」
「ローマにいるときはローマ人のするようにせよ」
など、そんな古代の人たちの教えが、未だに生きている。
イタリアは先進国でもありながら、王朝が続いてたりしないだけで歴史がとてつもなく古く、その誇りを胸に生きているんですね。
日本にも実は、つい最近(明治維新)の、例えば「薩長」と「会津」みたいな、相容れない価値観の地域っていうのがあるわけですが、この長靴型の半島にもそれはそれは多様な人種が住んでいます。
あ、そうか、と思い出させてくれたのは、今のフランス(つまりイタリアと大陸の間)を塞ぐように分布していた、森の人たち。この人たちは古代ローマ人からするとかなり野蛮な部類に入る人たちだったようで、たくさんの部族に分かれ、森林戦を得意としていたそうです。
文明的にはローマにかなり遅れをとっていて、一度、ローマ市街はこの民族に攻め込まれ、かなり激しい略奪と暴行を受けて追い込まれてしまうのですが、文明の利器を使いこなすことができなくて、みんな出て行ってしまったようです。
そしてローマ人は、彼ら蛮族にお金を払って解決してもらった、と。
それがローマ人の誇りを傷つけ、後々までローマを固持するための知恵をさらにローマ人に生み出させる原動力となるわけです。
その野卑な、(ローマ人に比べると)文化的に劣る人たちが、「ガリア人」です。
このガリア人とは、「ケルト人」とも呼ばれています。
なんだか「ケルト」というと、神秘的で霊的な存在で、もうほんとに深い森の中の深い霧の中でユニコーンに乗って暮らしてる、みたいなイメージを持ってしまいかねない雰囲気があったりしますが、そんなことはないみたいです。
現実には、住んでいる地域によって、ケルト人といってもいろいろ違うようですが。
そんな、南欧の諸地域との争いに勝ち、治め、拡大していく古代ローマ。
まだ「カエサル」の登場を見ていない(これから第3巻)んです。
私は世界史ってほんと、ほぼ全く知らないまま大人になっているダメなタイプなので、ちょっとでも勉強になって、嬉しく思っています。
第2巻の「序章」の一部を引用します。
ちなみに、一年間で世界中の歴史を教えなくてはならないという制約があるのはわかるが、日本で使われている高校生用の教科書によれば、私がこの巻全てを費して書く内容は、次の五行でしかない。
ーーイタリア半島を統一した後、さらに海外進出をくわだてたローマは、地中海の制海権と商権をにぎっていたフェキニア人の植民市カルタゴと死活の闘争を演じた。これを、ポエニ戦役という。カルタゴを滅ぼして西地中海も覇権を握ったローマは、東方では、マケドニアやギリシャ諸都市をつぎつぎに征服し、さらにシリア王国を破って小アジアを支配下に収めた。こうして、地中海はローマの内海となったーー
これが、高校生ならば知らないと落第する、結果としての歴史である。これ以外の諸々は、プロセスであるがゆえに愉しみともなり考える材料も与えてくれる、オトナのための歴史である。
ほんとにこれって、3000年も近く昔の人らなの??と思うほど、智に長け、工夫を凝らし、なんとか平和を維持する努力を惜しまずシステム化する、すごさを感じます。
そして逆に、こんな時代にすでにこんな感じなのに、なんで今まだ戦争したり政争が絶えなかったりするんだろう世界は、と愕然とした気持ちにもなります。
良いものは高い。
さて、第2巻「ハンニバル戦記」を見ていただいてわかるように、単行本、3,000円もするわけですよ。
いや、それに見合う以上の内容があるのは間違いございません。
私はたまたま、ブックオフで見つけまして「このシリーズを読むべ」と決めただけで、どういう出会いかは人によります。
Kindle版でまとめ買いするのもよろしかろう。
でもブックオフで2,600円、3,000円する本を、200円で手に入れてしまったらちょっと次、「あ、ブックオフに続き無いやん。よっしゃ、ほな正規で3,000円、はいよろ!」とは払いにくいというのが人情というものではありませんか。
だからと言って、いろんなブックオフを駆けずり回って探すとなると、時間を使うことで時給計算的に、300円…500円…と、価格は相対的に値上がりして行くことになります。
なので、ぱっぱと代わりの購入先を見つけるのがよろしい。
これほんとの古書とかだと神保町に入り浸り…となるんでしょうが、幸い大ベストセラーを後追いしてるだけですから、全国に在庫はあるはず。
しかもすでに文庫化もされているので、その範囲は広がります。
え、途中から文庫でもいいの?
いいんです!!!
読んで、しばらくしたらまた、どこかへ放流するつもりです。
ブックオフへ持って行くかな?
今回、続きをフリマアプリ「メルカリ」で買ったので、メルカリで出品してもいいかもしれません。
本棚を「私、こんな本持ってるんです!読んでるんです!」という「威圧」のために使うという傾向が(昔はあった気がする)もうほぼ一切ないので、読んでは整理し、読んでは整理し、です。
貴重な本、というのも何点かはありますが、その本が貴重なことと、私とは、本来なんの関係もないので、いずれ…という感じでもあります。
どんな本を読んだらいいですか?
「ローマ人の物語」はこの先、Amazonの中古本でも続き買うだろうし、まだまだ長いので、基本的にいつも読む本ができて嬉しく思っています。
ごくごくたまに、「どんな本を読んだらいいですか?」と聞いてくださる方がいますが「うん、ローマ人の物語を読んだらいいです」と言っても、その人絶対読まないですよね。
例えば駅員さんに「東京駅へ行くにはどうやって行けばいいですか?」と聞く場合、「早く」「安く」「簡単に」行く方法の中で、トップ1を聞いていますよね。
「この行き方はめちゃくちゃ時間かかりますしお金も高いですが、人生を滋味深く、良いものにしてくれます、一生の思い出ですよ」というような行き方を聞いているのではない。
「どんな本を読んだらいいですか?」も、そうなんですよ。
本なんて、これだけ世の中に、もう手遅れなくらいにあるわけです。
最近のヒット作なんて、古典読んでたら一冊も読めません。
つまり「どんな本を読んだらいいですか?」は、「近道、ないですか?」っていう意味なんですよね。
「楽ちんに賢くなる方法ってないですか?」に近い。あるかぼけ。
でも「どんな本を読んだらいいですか?」も、目的がある場合は別だと思います。
「○○というジャンルを知るためには」が最初にくっつくなら、そのジャンルを網羅した人なら、「これとこれを押さえて、あとは興味が出た方向へ…」みたいなことが言えるんでしょう。
それもなく「全ジャンル」「全価格」「全言語」「全難解度」の限定もせず「どこに行けばいいですか?」っていうのは、本を「知識を得て他人にマウントするためのステータス・アクセサリー」か何かと勘違いしてるんじゃないですかね。
これからは「Amazonで1位のを読んだらいいですよ」と答えることにします。
現時点(2017年2月3日)では、これでしたけどね。
↓
パックス・ロマーナ、まだまだ続きます。
でもスッキリ、これが欲しい。