「独裁者」と言われながらもアフリカで独特の地位を築き尊敬を集め、欧米と対立したムガベ氏は、37年もの間、権力の座にあり、2019年に95歳で亡くなりました。遠いシンガポールの病院で。
国軍によるクーデターで顕徳の座を追われたのち、ジンバブエが独裁者の支配から脱し、豊かになったのか…というと「カムバック・ムガベ」を叫ぶ人も大勢いるという、わりと難しい状況が続いているようです。
遠いアフリカの地のことなので、かなり想像が難しいんですけれど、お隣(南側)の南アフリカのマンデラ氏と比較されることも多いムガベ(本の帯にも書いてある)」。
印象としてはやはり「若い嫁にうつつを抜かし始めたくらいから変わった」という印象は拭い去れない。
病気の妻がいる状態で、夫がいる30歳も若い秘書に「愛している」と告白して結婚してしまう。
その後、グレース夫人は「グッチ・グレース」とあだ名されるほどにブランドものに狂い、浪費を重ね、国民の窮状などどこ吹く風で国外の不動産を買い漁る…。
「アフリカのドンファン」と呼ぶのは不適切なような気もするけれど、日本の富豪にもそういう例があるくらいだから、「病院で穏やかに最期を迎えられたのは幸い」なんじゃないかとすら思えてきます。
あの紙幣は今や(実物写真あり)↑
ジンバブエではとうの昔にジンバブエドル(ZD)は、面白いだけの紙切れとなっており、「観光客向け商品」として売ってるんですね。
でも、現地の人からすると面白くもない、もしかしたら嫌なことしか思い出さないものかもしれない。
やはり海外から来た人は面白がるんでしょう。
国民は、銀行からの現金の引き出しに制限があるので、現金を手にするというのはかなり大変なのだそうです。
なので、バーコード決済とかクレジット払いとかが大事。
また、観光客だけは米ドルで払って、しかもちょっと安い設定になっていることがある。
なぜならば、観光客は「安いなら」と米ドルで払う。
そうでもして外貨を手にしないと物価が高すぎて、モノを買えないから。
怖い国たくさん
妻のために買ったダイヤモンド鉱山を守るために、膨大な経費でコンゴへ出兵したことも、失政の一つに数えられています。コンゴは、大国ではあるもののジンバブエとは国境も接してない。
そしてさらっと書いてある(p.98)、そのコンゴの方が圧倒的に怖いんだけど。
アフリカを支配したヨーロッパの国々。
黒人など、人類だと思っていない白人たちの迫害・虐殺から立ち上がり、黒人国家として独立を勝ち取った闘士、そのリーダーとして活躍したムガベ。
その後の無茶苦茶で、クーデターを起こされてしまうけれど、死後に至って、まだまだ人気がある。
権力の座に執着せず、白人社会と折り合う(融和と呼んでいた)道を探り、ノーベル平和賞を受賞した南アフリカのマンデラ氏とはやはり、比べられてしまうけれど、南アフリカだって何も、全てが解決したわけではない。人種差別政策(アパルトヘイト)は良い方向に転じたとは言え、いまだ格差問題はかなり大きい。
「白人が支配してた時の方がマシだった」と言う人も、やはりたくさんいる。
「100兆ジンバブエドル」を面白がれるのは遠い街にいて、暮らす人々の苦労を知らずにいれるから、というだけのようです。
ジンバブエへ行く予定は今後も立てないけれど、アフリカの地図を見ながらなんとなく思うのは、やはりいつも「こんな感じでうまく行くわけないよな…」ということだったりします。
日本人はすごく好かれてるんですね、ジンバブエでは。