ひげで低評価 大阪市に賠償命令
https://mainichi.jp/articles/20190116/k00/00m/040/119000c
大阪市の職員の綱紀の緩みって、ほんとに甚だしかった…なんて聞きます。
民営化された今は、「ひげ規定」も撤廃されているようです。
大阪市営地下鉄の運転士らが、ひげを生やして勤務していることを理由に最低の人事評価にされたのは不当だと訴えた裁判で、大阪地方裁判所は「ひげを生やすかどうかは個人の自由で、人格的な利益を侵害し違法だ」と判断し、大阪市に40万円余りの賠償を命じました。
でニュース画像を見ると、まぁ、「そんなに」生えてるわけではないんですね。
というのも当事者(大阪市営地下鉄の運転士2人)さんが、大阪市交通局の「身だしなみ基準」について提訴したのが3年前。
「身だしなみ基準」が設けられたのは、平成24年です。
3年も経てば「まぁ、一回ヒゲ剃ってみてもいいかな」と何回か思っててもおかしくないですけどね…。
「地下鉄の利用客などに不快な思いをさせないように」という理由で設けられたのが「身だしなみ基準」だったようで、例えばヒゲ生えてる車掌さん、「おい!偉そうに!!」って怒る人、いるんですかねえ。
ごく少数いるんでしょうけど、それは「ひげは個人の嗜好の問題ですから!」とそもそも交通局が突っぱねればよいだけなんじゃないか、とも思います。ヒゲが邪魔で運転の妨げになる、とかなら別です。
だけど判決が出て、自治体が敗訴するとなるとまた問題は別、のようで、現大阪市長はビシッとこう書いてらっしゃいます。
なんだこの判決。控訴する。 旧市営交通はサービス業。身だしなみ基準を定め、そのルール自体が合法なのに(判決)、守らなくていいなんて理屈通らない。身内の倶楽部じゃない。公務員組織だ。お客様の料金で成り立ち、トンネルには税金も入ってる。控訴だ。https://t.co/IGLn6LZWd7 @YahooNewsTopics
— 吉村洋文(大阪府知事) (@hiroyoshimura) January 17, 2019
確かに、「規定違反」なわけで、意見としてはもちろんわかります。
内規を守るということは仕事をする上で、とても大切なことです。
「ヒゲはダメ」を守らないのならダメ、も、とうぜんわかります。
この意見を持っている人も、たくさんいるようです。
社内のルールにいつまでも逆らい続ける社員が、人事評価を下げられても仕方ないだろう?と。
一方、「ヒゲで人事評価なんか下げられてたまるか」という意見の人も、当然たくさんいます。
そもそも規定自体が憲法違反じゃないか?と。
ヒゲは自己表現や自身の尊厳に関わるもので、ヒゲが業務に支障をきたすということはありえないし、そこは譲れぬ。規定はともかく評価を下げるほどのことではない、と。
これもわかりますよね。両方わかります。
で、なんとなく「関羽みたいなヒゲはアウト」っていうのはわかりますし、「顔中ピアスだらけはアウト」なのもわかるんです。
じゃあ、
「関羽でなければOK。」と規定に書くのか。
「ピアスは耳に1個まで。」と書くのか。
「鼻はダメ。」。
はたまた「アイシャドウの色はこれ。」や「ブレスレットは天然石(色は寒色系のみ)。」とかまで書くのか。
そんなの、「だいたいわかるでしょうが!!」っていうことですよね。
意見がなんだか錯綜してしまうのは、問題が、2つ混ざってるからですよね。
1つは、「決め事に逆らうのはいけない」というライン。
もう1つは「そもそもそれに決めてるのがいけない」というライン。
この2つを混ぜるのは、本当は良くないんですよ。
1、職員としては規定は守らなければならないでしょう。
2、その規定ってどうなの?というところは、確かにあるでしょう。
今後、大阪市が控訴してたとえ判決が覆っても、もうすでに事実として「身だしなみ基準」は廃止されてるわけで、ヒゲくらいは生やしてもいいわけですよね。
「お客様が不快に思う」のライン引きも、なかなかに微妙です。
じゃあ極度の肥満の人は?
じゃあハゲの人は?
じゃあ化粧の匂いがきつい人は?
じゃあ立ち姿がムカつく人は?
じゃあやる気を感じさせない態度の人は?
じゃあ単純に不細工な人は?
こんなこと言い出したら「オールアウト」ですよね。
校則じゃあるまいし、スカートの丈は、ズボンのわたりは、髪の色は…って、そんなの大人なんだから、「だいたいわかるでしょうが!!」なんですけどねえ…。
裁判にまで訴えたけど、市長も即・控訴と判断したけど、普通の感覚で見てる人らは「なにやってんだ大阪市(の人ら)…」と思ってると思います。
これ、結局は「ヒゲが与える仕事への影響」に関連するわけですよね。
例えばいわゆるクリエイティブ系の仕事ではたいてい、会社でもヒゲは自由です。
だけど一般の、営業職なんかだとヒゲはご法度のところが多いでしょう。
これは会社が、「ヒゲ生やして営業なんか務まるかアホ」と判断してるからで、ヒゲを生やした営業マンが業績を上げて、あれ、ヒゲ関係ないじゃない?ってなったらその規定(や不文律)は撤廃されるはずですよね。
そういう研究、というか実績評価はどこにもまだ、蓄積されてないんでしょうか。
それに、上にも書いたように地下鉄の職員さんがヒゲ(関羽ではない程度)を生やしてて、地下鉄の利用客数が半減する、とかは絶対ないでしょうし。
ヒゲを含めて、「ちゃんとしてるかどうか」の基準を総合的に判断する、という上長の裁量があれば、なんら問題ない話だと思います。
誰かが書いておられましたが、やはり「ヒゲ、禁止じゃ!!!!」と厳命しないといけなかった当時の大阪市営地下鉄、って、そうとうアレだったんだなぁ…ということ、なんですかね…。
※余談
「ヒゲ」と打刻するのに何回も「ほげ」になってしまいうんざり。