この子役は、穂積ペペさんです。
私がなんでこの「任侠もの」をシリーズで観てみたいと思ったかというと、まず「仁義なき戦い」シリーズが好きでして、出てくるセリフとか、いくつか覚えてしまってるほどの回数を見ているんです。
裏切りと狡猾さと残虐さがふんだんに出てくる「仁義なき戦い」。
大ヒットシリーズとなって、今でもテレビ番組でちょっとした「争い」イメージにはテーマ曲が使われていますよね。もはやステレオタイプと化すほどに。
それほどまでに浸透した「仁義なき戦い」なんですけど、ちょっと待てよと。
「仁義なき」とわざわざ言うということは、いつかどこかに「仁義ある戦い」があったんじゃないか、と思ったんです。だからこそ、「仁義を語るしっかりとした物語」があったからこそ、それらすべてをひっくり返す、英雄もおらず正義もなく、ただ欲得ずくで人が死ぬめちゃくちゃな「仁義のない戦い」が、凄まじいインパクトをもって成立したのではないか、と。
その「仁義ある戦い」は、きっと同じ「ヤクザもの」にあるはずだ。
同時期のスターでありながら(なんと亡くなった年も同じだった)、高倉健と菅原文太。
二人の「仁義ある・なし対決」を、見てみたいと短絡に思ったのでありました。
シリーズ二作目、「唐獅子牡丹」。
これは、主人公の花田秀次郎(はなだ・ひでじろう。高倉健)が背中にいれている、彫り物の絵です。
「ガマン」と呼ばれる、ヤクザの象徴。おそらくですが、この映画シリーズが人気だったとき、酔狂にヤクザでもないのに彫った若者、多かったんじゃないでしょうか。それくらいのインパクトがあります。
名前は同じで設定は別。
そんな花田秀次郎と同じく、シリーズすべてに同名異人として登場するのが風間重吉(かざま・じゅうきち。花田は一作目だけは寺島清次)。
風間は、池部良が演じています。
すでにこの時点で映画界における二枚目スターであり、日本映画俳優協会の会長でもあった池部良(2010年没)はなんとこの役を、「刺青を入れない、そして毎回死ぬこと」を条件に引き受けたのだそうです。「毎回生き残る」んじゃなくて、「毎回死ぬ」ってすごい条件ですよね。第一作「昭和残侠伝」での萬屋錦之介のポジションを、池部良がやってる。
その約束は見事に果たされ、毎度絶対に「風間重吉」として登場し、設定は毎度違いますが毎度主人公と一緒に殴り込みをし、毎度死にます。こういうパターンて、やっぱり他ではあまり聞いたことがないですね…。
ーシリーズ9作ー
第1作『昭和残侠伝』1965年10月1日公開
第2作『昭和残侠伝 唐獅子牡丹』1966年1月13日公開
第3作『昭和残侠伝 一匹狼』1966年7月9日公開
第4作『昭和残侠伝 血染めの唐獅子』1967年7月8日公開
第5作『昭和残侠伝 唐獅子仁義』1969年3月6日公開
第6作『昭和残侠伝 人斬り唐獅子』1969年11月28日公開
第7作『昭和残侠伝 死んで貰います』1970年9月22日公開
第8作『昭和残侠伝 吼えろ唐獅子』1971年10月27日公開
第9作『昭和残侠伝 破れ傘』1972年12月30日公開
…2020年は、「仁侠ものチャレンジ」に取り組むのでござんす。
Amazonにてごめんこうむりやす。