見たもの、思うこと。

このイライラ。この虚しさ。『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場(字幕版)

この映画も「ポリティカル・フィクション」と言えますよね。

ポリティカル・フィクションとしてのシン・ゴジラ

政治的にどうするんだという大きな判断と、一刻を争う現場でのギリギリの判断。

イギリス軍の大佐(ヘレン・ミレン)、この人って、「黄金のアデーレ」の人ですよね!?

芸術は誰のものぞ!?『黄金のアデーレ 名画の帰還』

テロリストが自爆テロの準備をしている。
それをはるか上空からのドローン映像(MQ-9 リーパー)と、現地での超小型カメラを駆使して得た潜入映像を、遠く離れた場所で吟味する作戦本部。そしてその作戦に、法的・政治的な判断を加える政治家たち。

現場の大佐(常設総合司令部司令官。ヘレン・ミレン)は、作戦を遂行することが自分の責務ですし、それが世界の平和に寄与することだと思っている。

実際にミサイルの発射ボタンを押す中尉(アーロン・ポール)は、作戦遂行のために目の前の命が自分の指先一つで失われることに、躊躇いを覚える。

国防副参謀長たる中将(アラン・リックマン)は、政治的な躊躇が現場への負担を急増させていることに気をもむ。

閣外大臣(ジェレミー・ノーサム)、英国外相(イアン・グレン)、アフリカ担当の政務次官(モニカ・ドラン)アメリカ国務長官(マイケル・オキーフ)は、自己の責任の重大さと法を遵守する責任感に揺れる。

現地の工作員(バーカッド・アブディ)は正体がバレれば即座に殺される危険にさらされる。

今ミサイルを撃つと周辺にいる、無関係な少女(アイシャ・タコウ)の命が危ない。
だけどあのテロリストらの爆弾を逃すと80人、いや今後はもっと、それ以上の無辜が死ぬ。

1人を犠牲にして80人を救うのか。またはその逆か。

安全地帯にいる人たちは「少女を犠牲にする決定」をしたことには苦しまず、「多くの人が憎むべきテロリストの犠牲になってしまったこと」で憎悪する方を選ぶのか。

政治的な判断が高度になればなるほど、ここがポイントになってきますよね。

無責任に見ている方としては「う〜ん最大限の努力はすべきだよね〜」なんて言いたくもなってしまうかもしれません。

これの究極的な文言が「よく話し合うべき」なんですよ。日本の識者がよく言う「話し合うべき」。そんなの、話し合いが通じると(向こうも)判断すれば…の前提でしか成り立たない。

「あと10分もない」現場で、決断を狭られるとしたら、どうすれば良いのか。

「法的に問題ない」から少女を犠牲にできるのか。
「だからと言って最善を尽くすべき」と言っている間に、自爆テロが確実に起こる。

誰かが決めなければならない。
撮影はドローンだけれど、決定は人間がする。

 

全員、「やるべきこと」をやっている。

・大佐は作戦を遂行しようとする。
・政治家たちは自分の責任の範囲で的確な判断をしようとする。
・中将は軍と作戦を代表して、責任を取ろうとする。
・兵士は爆弾を投下する ボタンを、命令通りに押す。
・過激派は信じる道の途中の作戦として爆弾を用意する。
・少年は死後の彩られた世界を夢見て爆弾を胸に巻く。
・少女はパンを売る。

みんな、「自分がやるべきことだ」と信じて「良くなりますように」と願ってやっているんですよね。

好戦的で「撃とう、やろう」と推してるように見えかける女性大佐も、人間です。別に「少女だろうがなんだろうがその辺にいるやつぁ殺したってかまやしないのさ」とか思ってるわけではない。

だからこそ冒頭、少女の生活の描写の後、彼女の自宅(英国サリー州)のベッドから始まったのでしょう。普通の生活を営む人間である、と。

この作戦が終わって、娘を虫けらのように殺された現地の父親、そして地元組織は英米やケニア政府を恨むでしょう。その怨嗟は消せない。今、増えてきていると言われている、過激派に身を投じる裕福なイギリス人・アメリカ人。先進国へのテロへの手引きや資金源となったりしているそうですが、国籍が英米だけに、武力で排除するにはこれまた政治的判断が必要になるという描写も、ありました。

彼らは彼らの正義で動いていて、だからって無関係な市民を巻き添えに殺していいのか…!?と私たちは言いたくなりますが、この映画のように、無関係な死なら、欧米諸国だって無数に作ってるわけです。

もはや地球外生命体がほんとに攻めてきた、とかじゃないと、地球で暮らす人類は一致団結できないレベルになってきています。決して「武器を捨てよう」「核を手放そう」「話し合おう」とスローガンを掲げてるだけでは、なんと説得力もない。ましてや自国の首相官邸に向かって叫んでたって、意味はない。

遠く離れた場所での作戦会議でごちゃごちゃ責任逃れの判断保留を続ける政治家たちを見て、イライラしてきたりもするんですが「じゃあ、即断即決できるっていうお前は、いったいなんなんだ!?」という問いを、この映画は突きつけてくるんです。

健気にパンを売る少女。
涙を流して命令に従う兵士。

帰りに、孫にお人形さんを買って帰る中将。
一人の少女は死に、一人の少女はお誕生日の人形をもらう。

これが遺作となったアラン・リック(スネイプ先生だよ)の、「今後決して、軍人に対して、“戦争の代償を知らない”とは言わないで欲しい」という言葉が、印象的です。

もう、この世には、完璧な平和など来ない。

 

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