ニュース手短に。

本を買って読んだらすぐ売る、この流れを止めるなんてできるのか

投稿日:2019年2月26日 更新日:

最後の英語やり直し!

勝間和代さんがはっきりと「不愉快です」と表明された件のお話。

メルペイ。青柳直樹代表取締役は、「新しい本を『借りるようにして読む』という、メルカリとメルペイならではの体験を届けられる」と話す、という記事に対する意見。著者及び出版社への敬意がまったくないと考えます。不愉快です。
http://katsumakazuyo.hatenablog.com/entry/2019/02/23/004332

これは、メルペイの青柳直樹代表取締役が、「新しい本を『借りるようにして読む』」というスキームについて語ったことに対して、「著者として、大変不愉快です。」と言っておられる、という感じのことであります。

メルペイ、スマホ決済で後払いサービス 「使い終わったらすぐメルカリで売却→売上金で決済」サイクル狙う
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1902/20/news134.html?fbclid=IwAR3GCu7cG2rtNNaYo9rQL0JyI-gQuEJLflEnw18Cu9sMmjkTLDRkWVatLes

どういうことかというと、メルペイの青柳氏が言っているのは、メルカリの子会社「メルペイ」が、後払いサービスを提供するという発表に連なる文脈で出てきたんですね。

1とにかく、先に後払いで新刊本を買う

2読む(あるいは読まない)

3読んだら売る

4売れたお金を使って1の支払いに充てる

こういうことです。

1,500円の新刊、発売日に買って発売日のうちに読んでしまえば、次の日に出品すればもしかすると1,500円で売れます。
発送にかかる梱包や送料が200円くらいかかるとしても、1,300円は戻ってくる。

今をときめく新しいヒット作が、新品が、なんと200円で読めるじゃん!!いいぞもっとやれ!そういう話です。
『借りるようにして読む』というのは、そういうことを表現した言葉なのですね。

勝間さんは言います。

著者にとって、本を書いても、原則として新刊の印税しかこないというビジネスモデルだということを、メルカリの代表取締役や参加者はどこまで理解をしているのでしょうか?

と。

著者には、最初に原稿料としていくらかと、売れた場合のパーセンテージで、印税が支払われます。
私の見聞したことある感じだと最初に原稿執筆料でン十万〜、そして1冊につき10%くらい。もちろん、それ以下も以上もあるでしょうそれは契約次第です。

中古本が古本屋でいくら売れても、出版社や著者がカウントできるわけではないので印税的なものは一切入ってきません。

著者を守れ、出版を守れ文化を守れ、という流れで「中古市場許すまじ」という言説って、いつも出てきますし怒りが伴われている気がする。

同時に「それって中古市場責めずに出版社のビジネスモデルをまずは責めろよ」と思わないでもないですが。

実体として、

私とは完全に利害が対立します

という事実はありますし、それで

著者及び出版社は機会損失が生じているということ

で、「儲からないしもう筆を折ります!」的なことにつながっているという批判も正当だったりして現状、ある程度の説得力を持っていますよね。

 

 

それに対して、こういう考察をなさっている方が。

私たちは本を”消費”しているのだろうか
https://note.mu/inuro/n/n392b197a9a67

「家に置いておきたい本(ストック型)」と、「読んだらまた市場に放流しちゃう本(フロー型)」があると。

確かに。

背表紙の感じとか、英字の写真集持ってる俺カコイイ、などの理由でストックし、「招待した人に見せる用の本棚」作ってるオシャレさんっていっぱいいますよね。まぁ、そんな言い方しなくていいけどw

駅で買う週刊誌なんかは完全にフロー型。
あれを全号、家に置いている人はある程度「変人」扱いされることを覚悟しないといけないでしょう。

活版印刷が発明されるまで、書籍が異常に効果で「文化そのもの」扱いだったことは想像に難くないですよね。
大げさに言えば本一冊が「文化会館いっこぶん」くらいの価値があった。

それが15世紀半ば、

「本1冊の値段は給与一週間分程度」に下がった

んですね。

それでもそれでも、そんな本を軽々に売る人など、いるわけがないですよね。
資産そのものになっていった。

本もいろいろ、だという厳然たる事実。

メルカリなどのフリマアプリは、本だけでなく、すべてのものを「フロー化した」んですよね。いえ、「フロー化可能にした」。

言ってみれば、「ドラクエのどうぐや」が現れた、みたいなものです。

これは「それがなかったからできなかっただけ」で、ストックしておく必要もないのに売ろうにも古書店には売れず、ちり紙交換に紐で縛ってゴミ扱いで出すしかなかったんですよね。

今でもブックオフでは、冊子とか雑誌では買い取り価格のつかないものも多いです。
それでも引き取ってもらうことになる。家にはもう、ストックできないから。

変えるべき、変わっていくべきは、やっぱり「流通」や「売り方」なんだろうと思います。

勝間和代さんも補足記事において

本の売上も、出版社が驚くくらい、電子書籍の売上比率が高いです。したがって、そういう意味では、紙がメルカリとかメルペイのしくみで売られることでビジネス生活が成り立たないわけではありません。生活や収入のために言っているわけではないのです。

と言っておられます。

メルペイ問題への補足。もちろん、著者がサブスクリプションモデルや新しいビジネスモデルへの対応は必要で実際私も10年以上そうしています。それでも私が不愉快さを表明しているのは、プラットフォーマーがフリーライダーを推奨しているからです。
http://katsumakazuyo.hatenablog.com/entry/2019/02/23/090232

じゃあなんで怒ってるの?というのは、↑の記事タイトルの通りですね…。

「人が丹精して育てた花をもぎ取るとこちらが感じられるような言動です」

という感覚はわかります。それを全く敬意の感じられない態度でサラッと言うなよメルペイよ、ということですね。

勝手な消費者としては、「丹精こめようが構想に何十年かかろうが、置いておく価値なしと感じた本は全力で売る」としか思わなかったりも、しますよね。
よくもこんなカスみたいな内容をフツーの良書と似た価格でしれ〜っと売りやがったな!みたいな。

だけど「現段階で」、著者を守る、出版文化(電子を含めて)をまっとうに守るには、「リアル書店で買う」しか方法はない、という感じのようです。

なぜ著者や編集者は「書店で買ってください」「初速が大事なんです」と言うのか
https://note.mu/moegi_hira/n/nea1769736db5

↑に書かれている内容によると、電子版の場合、売れ行きが「入金されないとどれくらい売れてるははっきりわからない」というのが現状なのだそうで、ぼーっとストアに置いておけば売れるというものでもない以上、ネット広告出すかどうかの判断とか、早く「売れてる、もっと売れるぞ」と連載続行などを決めるには「実店舗の紙の本の売れ行き」がとても重要な材料になる、と。

この場合のリアル書店、というのはAmazonは含まれないのかな…。

Amazon(私は楽天ブックスと併用してる)はもう、リアル店舗として認識してる感があるけど。

昨日、かなり久しぶりにリアル店舗で本を買いました。

いつもは、まずAmazonで見て、あればもう買う。
今回は、目当ての本の発送がやたら遅い。

いつもなら「届いたらそれでよろしい」くらいのスタンスなのですが、今回は早く読む必要があるという条件が課されており、発送に「2週間〜」とかかかると困るなぁ、という感じでした。

なので、大きめの本屋さんへ。
1店舗目は、検索機で調べた時点で撃沈。「在庫なし」と言われる(表示される)あの冷徹さ、なかなか「ぐぬぬ」感ありますw

違うお店では、在庫ありとの表示が!
探す、棚を探す。

1冊だけありました。
ベストセラーとか平置きされるタイプの本とかではないので、書店員さんがこの棚に差し入れてからは誰も触っていないだろうと思える感じの佇まいでそっと、両隣に寄り添って立っていました。私がじゃないですよ本がね。

ほら、コンビニとかでは「こんな雑誌あるのか〜」とかちょっとだけパラっと立ち読みする本のコーナーはとても便利ですが、あそこでやっぱり数百人が触った・あるいはクシャミしながら熟読してた、と思われる本をわざわざ買うことはないよな…と思ったりして、新品の本なら郵送で綺麗に届くAmazon(私は楽天ブックスと併用)にしたくなっちゃうんですよね。

たとえばサイン本とか、思い出の本とか。
そういうのは売ったりせずに、本棚にいつまでも置いておきたくなりますよね(ブックオフにはサイン本も平然と売られているけれど…)。

自分にとってこの本は、どんなにか良い影響を与えてくれただろうか、また、リファレンス本として下手すりゃ一生「座右の書」になりかねないぞと感謝すらしたりして、売らずにおく。

これは住宅事情とも相まって、そして電子化、電子書籍を読む端末の進歩ともからんで、じょじょに、かつ絶対に変化し続けていくものなのでしょうね。

その過程では、やはり「不愉快」とか「怒り」とか「悲しみ」「退廃」「冒涜」などの感情が入り乱れて、改めて著者と消費者の間にある溝を、感じさせてくれたりするんですよね。

そして現在、その間隙に、直接両者が触れ合えるオンラインサロンやインタラクティブなメディアが挟まってくる…という現状もある。

書籍に「電子」なんて呼称が付いているうちは、勝ってる人(売れてる作家・著者)は大きな声を上げることはなく、売れてなかったり我が身に危機を感じている人らは「中古市場マジ滅ぶべし」なんて言ったりしてるんでしょうか。

そうでもないのかしら。

 







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