ニュース手短に。

阿吽(等価線量と実効線量を混同する東京新聞!?)

投稿日:2019年1月24日 更新日:

いちから聞きたい放射線のほんとう: いま知っておきたい22の話 (単行本)

11歳少女、100ミリシーベルト被ばく 福島事故直後 放医研で報告(リンク切れ)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201901/CK2019012102000122.html

 

東京電力福島第一原発事故の直後、福島県双葉町にいた十一歳の少女が、喉にある甲状腺に推計で一〇〇ミリシーベルト程度の被ばくをしたと報告されていたことが、国の研究機関・放射線医学総合研究所(放医研)の文書から分かった。一〇〇ミリシーベルトは国などの資料で放射線の影響でがんの発症が増加し得る目安として使われてきた。しかし、国はこれまで「一〇〇ミリシーベルトの子どもは確認していない」と発表し、この報告は伏せられていた。 (榊原崇仁)

文書は、事故から二カ月後、二〇一一年五月二日の放医研の「朝の対策本部会議メモ」。本紙の情報開示請求で公開された。それによると、会議では、十一歳の少女の実測値が「頸部(けいぶ)5-7万cpm(GMで測定)」と示され、「取り込みが3日前として、甲状腺等価線量で100mSv程度」と報告があった。

甲状腺は首の部分にあり、放射性ヨウ素が集まりやすい。国や福島県の公表資料には「がんのリスクは一〇〇ミリシーベルト未満で検出困難」「チェルノブイリ事故では一〇〇ミリシーベルト以上でがん発症」と記されている。

メモや関連文書などによると、測定したのは県職員の放射線技師。県は事故直後から、避難者らの体についた放射性物質を調べ、除染する検査を実施しており、この技師は三月十三~十五日、派遣された同県郡山市の会場で、頭や衣服などの汚染を調べていた。検査機器として「GMサーベイメータ」が使われた。甲状腺の放射性ヨウ素の測定は通常、体内からの放射線を調べやすい「NaIサーベイメータ」を使うが、技師がいた検査会場にはなく、GMで代用したとみられる。

記録も混乱の中で書き残されなかったが、結果は一一年四月、検査応援のために福島滞在中の徳島大の誉田(ほんだ)栄一教授と佐瀬卓也講師(現・核融合科学研究所准教授)に伝えられたという。

佐瀬氏はサーベイメータで示された汚染の程度から、少女の甲状腺に取り込まれた放射線ヨウ素を「十数キロベクレル相当」と試算し、現地にいた放医研職員に連絡。この試算を基に、会議で「一〇〇ミリシーベルト」が報告されたとみられる。徳島大の二人によると、技師は「少女は爆発があった時、『(原発がある)双葉町にいて友だちと外で遊んでいた』と話していた」という。

政府の原子力災害現地対策本部は一一年三月下旬、NaIを用いて十五歳以下の子どもの被ばく線量を測定し、すべて一〇〇ミリシーベルトの基準を下回ったと発表した。しかし、対象は避難や屋内退避が指示されなかった原発の三十キロ圏外の地域で、調べたのも千八十人のみ。事故当時、双葉町の少女らは、この測定から漏れた可能性が高い。

放医研はこの値について「対策会議で出た情報を基にその場で簡易的に算出したもの。精密に検討しておらず、公表していない」とコメントしている。

<放射線医学総合研究所> 第五福竜丸事件を受けて1957年に設立。国の指針類では福島第一原発事故当時、「緊急被ばく医療体制の中心的機関」と位置付けられ、詳細な線量評価を担うほか、関係機関に対する助言や高度専門的な治療を行うと記されていた。所在地は千葉市稲毛区。

 

等価線量と実効線量の違いを、東京新聞の記者様が、知らないわけはないでしょう。

東京新聞は、こういうサイトまで作っています。

こちら原発取材班(「原発のない国へ」に更新されています)
http://genpatsu.tokyo-np.co.jp/

ここまで追い続けている企業が、いまさら、もうじき丸8年(2019年1月現在)、等価線量と実効線量を混同するというのは「ありえない」でしょう。

つまり、「わざと」なんじゃないですか。
故意に、混同させているとしか思えない。

下の、Togetterでのまとめで利用されているやり方を冒頭部分だけ真似させていただきましたが、

東京新聞『11歳少女、100ミリシーベルト被ばく』の記事に「それ等価線量だよね?」の声。この機会に等価線量と実効線量の違いを知ろう。
https://togetter.com/li/1311079

東京新聞の記事の青い文字は等価線量、赤い文字が実効線量に関する記述にしてあります。

上の方で

喉にある甲状腺に推計で一〇〇ミリシーベルト程度の被ばくをした

と書いて、下の方で

「チェルノブイリ事故では一〇〇ミリシーベルト以上でがん発症」

って書いたら、「ああこの11歳の少女、100ミリシーベルトに達してがん発症…国は隠してたのか…」って、なりますよね?

「チェルノブイリ事故では一〇〇ミリシーベルト以上でがん発症」のところは、絶対に「実効線量が」と付け加えておかないといけないところ、です。

なにせ「単位が同じ」なので、それらが「実効」か「等価」かを書き加えないと、必ずよくわからなくなります。

もちろん、ちゃんとわかってる人は、「がんの発症が増加し得る目安」として国が使ってきた基準なのでそれが「実効線量のことだ」ということが一目でわかるわけですが、ウカっと読んでいたり、ニュースや情報をすべて「誰が悪いんだ?」という視点で読んでいる人たちにとっては、ああッ、11歳のいとけない少女がッ!!という、この記事か書かれた「意図」に、見事に引っ張られてしまう感じになっちゃうんですね。

ほら、国はおかしい!被曝はしてる!子らが死ぬ!国が悪い!東電呪うべし!アベノセイ!!っていう。

もう、ぜんぜん違います。

 

等価線量と実効線量の違い。

8年経ってもこれなので、たぶん18年経っても28年経っても同じことは起こります。

だって、わざとなんですもの。

単位が同じ、シーベルト(Sv)だからややこしい。
シーベルトは、スウェーデンの物理学者。フルネームは「ロルフ・マキシミリアン・シーベルト」。

「等価線量」と「実効線量」の単位が、便宜上だけであっても使い分けされるような常識にならない限り(TSvとJSvとか)、この「わざとな混同」はいくらでも可能ですし、その混同の意図が「ほら!こんなに被害が!」というものであるならば、「安心できないですね!!」という煽りは、無限に成功してしまいます。

現実には今、空気中に漂っている事故由来の放射性物質はほとんどないので、例えば福島県に行って(ふぐすまっつっても広いよね)、被曝して鼻血が…ということは、100%ありません。じゃあ福島県の人は鼻血出さないのかよーう!みたいなことを言ってくる人がいるかもしれません(実際にいるっぽいから怖い)、そういう人は、鼻っツラぶん殴ってハナヂぶー、にしてやればいいんじゃないですか。

彼らは人を傷つけるデマ屋、ですから。

そもそも「被曝して鼻血垂らしてるような人」は「鼻血出ましてん…」なんて自己申告できるような容体ではないはずですからね。

 

細かいことは置いても、「等価線量」と「実効線量」は違うんだ、こういう記事に触れた時、「等価線量?実効線量?」とすぐに思えるように、メモのように、このブログに、書き残しておきます。

 

「いちから聞きたい放射線のほんとう」には等価線量と実効線量についての章が、ありました(p.90〜)。

実効線量は「からだ全体への影響の大きさ」を表す。

よく聞く「外部被曝」「内部被曝」も、この実効線量で考えます。
空間線量(率)は、「外部被曝」の実効線量を知るためのもの。

「からだ全体」用の数値なので、大きく感じます。
「100ミリシーベルト」と書かれると、「甲状腺にヒャ、100ミリSv!?」ってなりますけど、これは実効線量ではないんですね。

 

放射性物質の中でも、α線(あるふぁせん)は粒が大きいので、皮膚ていどでゴツン、と止まって、身体には入ってきません。皮膚で防げる。だけど身体に入ってしまうと、例えば食べると、それは影響がある。これが「内部被曝」ですね。

身体の中はちょっとわからないし、大きめに見積もって、α線はβ線(ベーたせん)やγ線(がんません)に比べると、20倍のダメージを持ってる、と計算します。

身体が受けてしまう放射線の影響は、「アルファ・ベータ・ガンマ」でそれぞれ違うもんで、そこを「均(なら)して」考えるために、いわば「全部β線(ベーたせん)で考えられるように」、わかりやすく20倍して考える。

だから「等価」なんですね…。
等しい数字にしてある、っていう。

等価線量は、「臓器ごとに考える」んだそうです。
超めんどくせえ。

さらに等価線量は、「常に1kgあたり」で考えると。

甲状腺というのは、大人でも20gくらいしかない部位なので、「もし甲状腺が1kgあったら…」という計算をし直して(つまり20gなら50倍して)、数値を出す。

これが「等価線量」。

「実効線量」は、身体にある臓器、それぞれの、身体全体への影響をそれぞれに考えて、それぞれにある等価線量を「1kgあたり」に均(なら)したもの。身体全体で平均したもの。

実効線量の計算をするときの各臓器の割合(組織荷重係数)

生殖腺………………0.08
赤色骨髄、肺………各0.12
結腸、胃……………各0.12
乳房…………………0.12
甲状腺………………0.04
肝臓、食道、膀胱…各0.04
骨表面………………0.01
皮膚…………………0.01
唾液腺、脳…………各0.01
残りの組織・臓器…0.12

各臓器の等価線量にこの割合を掛けて合計したものが実効線量
(ICRP2007年勧告から)

(「いちから聞きたい放射線のほんとう」p.100)

 

今後も「シーベルト」が出てきたら「実効」?「等価」?をまず確認しましょう。

で、東京新聞さんは「あ、やべえ」となったんでしょうか。
補足記事を出されたようです。

等価線量とは?「甲状腺100ミリシーベルトで発がん増」国の資料で目安に(リンク切れ)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201901/CK2019012302000293.html

11歳の少女が甲状腺等価線量で100ミリシーベルト程度-。東京電力福島第一原発事故の直後、国の研究機関・放射線医学総合研究所(放医研、千葉市)が内部で推計していた被ばく線量の結果は、21日付の本紙報道で明らかになった。これまで国が注意を払い続けてきたのが甲状腺の「等価線量」だった。いったい、何なのか。 (榊原崇仁)

被ばくの影響を示す数値には「実効線量」と「等価線量」がある。全身への影響は実効線量、個々の臓器や組織は等価線量で表される。どちらも単位は「シーベルト」だ。

原発事故で放出される放射性物質のうち、放射性ヨウ素は体内に取り込まれると甲状腺に集まり、内部被ばくをもたらす。この時、放射線の種類を踏まえて算出される甲状腺の被ばく線量が「甲状腺等価線量」だ。一方、放射線が当たった臓器や組織の等価線量を計算した上、係数をかけて足した分が実効線量になる。

これまで甲状腺等価線量の「一〇〇ミリシーベルト」は重要な意味を持ってきた。

内閣府の資料では、チェルノブイリ原発事故の研究を例に挙げ「甲状腺がんの発症増加が認められているのは甲状腺等価線量で一〇〇ミリシーベルト以上」と記されるなど、がんのリスクが増えうる目安として使われてきた。事故前に原子力安全委員会(当時)がまとめた指針では、甲状腺の内部被ばくを防ぐ「安定ヨウ素剤」を服用する指標としても、この値が記されてきた。

国が事故後の二〇一一年三月下旬、原発から三十キロ以上離れた子どもたちを対象に行った甲状腺の内部被ばくの測定でも、「甲状腺等価線量で一〇〇ミリシーベルト」が基準値となり、国は「全員が基準を下回った」と発表していた。

そんな中で明らかになったのが、同年五月に放医研が内部で報告した「甲状腺等価線量で一〇〇ミリシーベルト程度」という十一歳の少女の推計結果だった。つまり、がんのリスクが増えうる目安に達する子どもはいなかったと国が発表してから約一カ月後、それに該当するような推計結果が算出され、公表されずに来た、ということだった。

 

で、冒頭の東京新聞の記事を後追いする形で、さらにわけがわからん感じに薄めて(読者は気づくまいと思ってるのか)朝日新聞が出した記事が、あるんだそうです(未見)。

それを受けて、放医研に確認した方がおられました。

放医研に確認:朝日新聞「11歳100ミリシーベルト甲状腺被曝」の実態
https://www.jijitsu.net/entry/100msv-koujousen-hibaku-asahi-fukushima

その結果、は、「やっぱり…」という感じ。

 

で、例えばこの方の反応などを見ると…

もう「特ダネ」扱いされているのですが、そのリプ欄には、なんだか不気味な追従リプライがこれでもかと並んでいたりします。
はっきり言って、かなり怖い。

そして「等価線量で100mSvということは、実効線量では4mSvくらいです。」という至極まっとうな意見に対して、こういう方々が、しっかり反論されているというのはあまり見たことがなかったり…。

いつまで、こんな「利用のされかた」、続くんでしょうかね…。

 

まずはここから。「いちから聞きたい放射線のほんとう」。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本来ならあそこに立つのは、我(あ)であるはずではなかったか。







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