自論構築過程

DAVID BOWIEの死、そして「★」の意味

投稿日:2025年1月8日 更新日:

 

BLACKSTAR [12 inch Analog]

デヴィッドボウイが亡くなってしまった(2016年1月10日)。

我らがスターは、最後に「★(BLACK STAR)」を残して、去って行かれた。

がんだったそうだ。

時代動かしたロック歌手=東西ドイツ統一にも影響―ボウイさん死去
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160111-00000119-jij-eurp

発売当日(2016年1月8日)にCDを手にしていた私は、「まだ、聴く感じじゃない…」と、なぜか目の前に置いて、パソコンに取り込んで、iPhoneでも聴けるようにした状態で、聴かずにいた。

どこかで、大音量で、独りで、瞑目して、沈着に聴きたい。
そう思っていた。

 

 

 

 

 

 

★(ブラックスター)

そうしているうちに、彼は69回目の誕生日を終えてすぐ、還らぬ人になった。

10年の空白を経て出されたアルバムから、3年も経たずに新作が!
そう思って意気込んでいたのに。

図らずも、こういう順番で、私の中に刻まれることになった。

アルバム「Reality」( 2003年)

 

 

 

 

 






アルバム「The Next Day」(2013年)

 

 

 

 

 




訃報(2016年)


アルバム「★」(2016年)

 

この順番の違いは大きい。
私にとっては、意味が変わってしまったのだ。

ボウイの死を知ってから聴く「★」。

彼はこのアルバムについて、ほとんどなにも語っていないそうだ。
それをして「彼が創造した次なるアートフォーム(芸術形式)は?」と書かれる存在。

彼の脳内には、暗黒の泥濘にしか見えない異界へと続く穴が開いている。
彼にしか見えないが、その穴は「芸術そのもの」。
その芸術という異世界から「お前の脳を通して、芸術というものを現実世界に表現せよ」という命題が、出続けている。

それをボウイは、やり続けた。
だから我々には時に理解しがたい世界観を、彼は生きるように表現した。
その苦悩と孤独は誰にもわからないのだろう。
天才の懊悩。アーティストの逡巡。
いまだに、その解釈は世界の好事家を悩ませている。

「日常にありふれた出来事を歌詞にして多くの共感を得て、」みたいなことでチヤホヤされて「アーティスト」と呼ばれたりしている人ら、もたくさんいることは事実だけれど。
彼はそれらとは一線も二線も画す、としか言いようがない。

ボウイが表現しているように、芸術っていうのは、その奥底は怖いものなのだと思う。
通奏低音として流れる「異界との交流」の具現化。

それを、冷静に、落ち着いて、現世との折り合いを個人としてはつけながら模索した偉人。

若い頃のジギースターダストやアラジンセイン、または「ダイヤモンドの犬たち」の感じを、今でもイメージとして強烈に持っている人も多いだろう。

そういう人たちは「レッツダンス」以降の彼を「私のロマンティックなボウイはどこへ!?」と感じ、アメリカでの成功以降に知ったファンは昔の写真を見て「なんで眉毛なくておでこに金の丸描いてんの!?」と不思議がっていたのだろう。
だけど「普通じゃない人」なのは誰にでもわかる。

どれもこれも彼にとっては脳内へ直接くだる、芸術界からの指令を脳内で変換した結果のエンターテインメントだったのだ。

確かに、音楽界に天才はいる。
綺羅星のごとく、イギリスだけでもたくさんの才能あふれる人たちが。
エルトンジョンしかり、ポールマッカートニーしかり。
ああ、偶然にも、受勲している「サー」だ。

なんとボウイは、大英帝国勲章コマンダーと大英帝国騎士号の叙勲を、両方とも辞退している(2000年・2003年)。

なんて、かっこいいんだ、貴方は。

「★」が持つとてつもなくHUGEな意味とは。

しかしこのアルバム名(そして曲名)、

「★」。

これ、ただ単にブラックスター(黒い星)というだけの意味にとどまらない。

なぜなら。

私たちは今後、パソコンにキーボードでなにかを打ち込む時、および文章を読む時に、

を見かけたら、デヴィッドボウイ/「★」の曲(およびPV)を、思い出さずにはいられないからだ。

それは全世界、の人々にとっても同じはず。

パソコン上の、
いかなる言語においても

は、「星」や「STAR」であると同時に、

DAVID BOWIEの「★」という意味を持つことになる。

永久に、だ。

つまりボウイはこの、進んだネット社会において、永遠に続く「ボウイの痕跡」を、最期のアルバム(および曲)によって、残すことを選んだのだ。

デヴィッドボウイは、永久に燦然と光る、★になった。
永遠のスターに、最後に昇りつめた。

すごいことをやってのけた、すごい人だと、訃報に接してからずっと、少し震えている。

感動で。

みなさんはいかがだろうか。

 

 

デヴィッド・ボウイ~最後の5年間







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