第32話は「友よ」でしたね。
国家が、4つの経済圏に分かれたという世界観ですから、こんなもの、「いずれ戦争」になるに決まってるんですよね。
全く別の世界(別個の進化をしてきた人類)とかじゃなくて、順当に我々と同じように科学的進歩を幾星霜か重ねてきたのであれば、思考や思想は同じ系列、延長線上にありますからいかに「厄祭戦」と言われる大規模世界大戦を経て収まった後でも、いずれ戦争になります。
いかにヴィーンゴールヴ宣言を受諾したとは言え、
・アーブラウ(ロシア・カナダが中心)
・STRATEGIC ALLIANCE UNION(アメリカと南米が中心)
・アフリカンユニオン(ヨーロッパから中央アジア)
・オセアニア連邦(中国・インド、東南アジア。日本もここに属する)
この4つがまとまっている状態を、今からは想像できません。
経済のブロック化はそのブロックの内需と輸出入の関係から、他のブロックとの衝突を生むでしょう。
世界恐慌の後、ブロック化したことが第二次世界大戦の遠因の一つになってたんじゃなかったでしたっけ。
それは、各帝国が植民地を囲ってブロック化したことから始まった。
つまり、一旦は列強の帝国化、後進国の植民地化が進んだという証拠かもしれません。
現在の各国の状態のまま「経済的にだけまとまりましょう」なんてことはありえない。
EUですら、一枚岩になれないのに。
これは結局、実質的に植民地化を武力で推し進め、経済圏をブロック化した欧米列強及び中国などの大国が、実際は人員も資金も提供している唯一の横断的軍事組織『ギャラルホルン』の名の下に、各地域の紛争を「内紛」とか「事案」程度に矮小化して、人民を騙し、軍事的に恐怖で支配している状態なのではないでしょうか。
つまり経済的な紐帯を優先して政治的にまとまったふりをして、格差が異常に広がった状態で弾圧されている人たちの現実は、社会的に隠蔽・糊塗されている。
その、隔離され差別を受けている僻地の一つ、という立場で「火星」が存在する。
主人公は「三日月」なんて名前だったりしますが、日本は、この時すでに没落して、東アジアの島国の一つ、くらいになってそうな気がします…。
オルフェンズとは何か
オルフェン(Orphan)というのは、「孤児」を意味します。
これに「s」をつけて「orphans」とする用法があるかどうかは知りませんが、「鉄血のオルフェンズ」とは、「鉄のような固い絆で結ばれた、孤児たちの物語」という意味が込められているのでしょう。
orphanとは
http://ejje.weblio.jp/content/orphan
火星の少年集団として「鉄華団」は出発。
主人公たちがいるこの集団は「華」ですが、「鉄火」と言えばそれは無頼で、無法で、勢いのある輩のことを指します。
「鉄火場」は博打場のこと。
この名前は彼らが命がけで、大勝負に出続けることを表しているとも言えますね。
↓ちょっと欲しかったりして
「戦争」とはまだ言えない地域紛争の中で、鉄華団の少年たちも次々に犠牲になっていきます。
今回のモビルスーツたちは、あんまり「爆発」しませんね。
それよりは、中世の騎士の戦いのように、戦国の武将のように、殴り合い、斬り合い、押し合いへし合いで、打撃を加える戦い方が多い。
宇宙空間でも地球上でも、あまり機体が爆発したりはせずに、グシャっとひしゃげて機能を停止する表現が多い。
パイロットも、コクピットが圧搾されたように死んでいくパターンが多い。
あっさり主人公のガンダムに倒される兵士にも仕事があり故郷があり家族がいて、死ぬと大変な悲しみが遺族にはあります。
主人公側の死には理由があり悲しみを語る時間があり辛さの表現がありますが、敵側には普通ない。
「うわーっ!」って言って死んでいくだけ。
主人公は悲しくて、向こうは悲しくない?
なぜなら、向こうは悪い側だから?
悪者は、死をもって償うべきだから?
向こうは、主人公たちを「悪い側」だと思ってますよ。
つまり、「戦争は無くならない」っていうことでしょうね。