\#鎌倉殿の13人 ギャラリー/
【第44回】本日放送!
[総合]夜8時
[BSP・BS4K]午後6時#三谷幸喜 が贈る予測不能エンターテインメント!#柿澤勇人 #源実朝#小林隆 #三善康信▼公式HPではフォトギャラリーを公開中!https://t.co/fYHc27OoN5 pic.twitter.com/rHoRcT81T3
— 2022年 大河ドラマ「鎌倉殿の13人」 (@nhk_kamakura13) November 20, 2022
ともに鎌倉殿の子として
生まれながら、
別々の道を歩んできた二人。
運命は、
神仏の前で
交錯しようとしている。
「審判の日」というのは一般的なイメージとしては「最後の審判」をするために神が再臨し、審判をする日ですよね。その審判によって、永遠の生命を与えられる者と、地獄に墜ちる者が分けられます。
神(ヤハウェ)やイエスを信じない者、殺人を犯した者、同性愛者、婚外性交渉をして悔い改めない者は救われないそうです。残念ですがそう決まってるんですね。審判をするのは神です。
「審判の日」というからには「審判する主体」がいるわけで、今回の場合その「審判者」とは、いったい誰なのか…。
白い犬の導き
三浦義村(みうらよしむら・山本耕史)が源実朝(みなもとのさねとも・柿澤勇人)暗殺計画をちゃんと知っていて加担もしていて、源実朝の死後すぐに「北条打倒」を掲げてクーデターを起こすのだとしたら、源実朝殺害の実行犯が次期将軍に擁立すべき「公暁本人」というのは、まったく不適格なんです。
神域において、しかも朝廷が任じた右大臣任官の拝賀の場で狼藉を働くとなると、「儀式を穢す男」から始まるのであるし「武」とは関係ないし穢れそのものを最初から帯びていることになるし「はい、ではすこやかに将軍に〜」という、坂東武者の論理だけでは乗り切れない感じになってしまうような気がするんです。
プロの暗殺者を忍び込ませる方が成功確率も高いし、大義名分も立てやすい。そもそも儀式の日でなくていい。
「本人が実行犯になる」という無茶から「これは突発的な単独犯である」というのが、最も納得しやすい現在の、有力説です。
しかし「黒幕がいる」と考えたくなるのは、権謀術数おびただしく御家人同士の血みどろの殺し合いにも事欠かない初期鎌倉幕府だからこそ。
「謀反である」と言っただけで確たる証拠もないのに軍勢を派遣して殺してしまう世界で生きてきたんですから、「将軍を殺したのはシンプルな単独犯(甥っ子)だ!」なんていう説明では納得できませんよね。
黒幕説には
1.北条ヨシトキ説
2.三浦義村説
3.北条政子説
4.北条ヨシトキ・三浦義村両人説
5.後鳥羽上皇説
など、諸説あります。
北条政子(ほうじょうまさこ・小池栄子)は62歳にして上洛までして、「親王将軍」実現のために卿二位(きょうにい/藤原兼子・シルビア・グラブ)と密約を交わしたりして、次期将軍に向けて活動しています。
源実朝に子がいないことは内外に知れた事実であり、親王将軍への禅譲は、源実朝がしっかり生きているからこそ可能な重大なセレモニーでしょう。
「親王将軍パターン」が確立してしまえば源氏の血は要らなくなる可能性もありますが(のちにはそうなる)、この時点では源実朝には、生きててもらわないと困る。
源実朝がいる方が、なにかとコントロールしやすい。
自分の権力の唯一の根源である「源氏将軍」を今消すと、自分も戦争の渦に引き込まれてしまいます。
そうなると「1.北条ヨシトキ説」と「3.北条政子説」は消えるんです。
二人には、源実朝を殺害する動機が無い。
いや、源実朝が生きてるからこそ、その前提で、いろいろ努力してる。
三浦義村は公暁(こうぎょう・寛一郎)の後見人であり乳母夫ですから、彼が次期将軍擁立と執権職を狙って「打倒北条」ということで、源実朝と北条ヨシトキ(小栗旬)を一気に滅ぼそうとした…というのもわかります。
ただ、犯行後、公暁をすみやかに始末してしまっています。
それは北条ヨシトキを打ち損じたからなのか、とりあえず関わってないという体を取るためなのか、異常なバランス感覚・政治的嗅覚を持つ彼は、公暁をすぐ切った。
なにせ、「和田合戦」で同族・和田義盛(わだよしもり・横田栄司)の味方すらしなかった男ですからね。
そんな怜悧なポリティカル・ジャッジメントをたまゆらでする三浦義村が黒幕なら、やはり「本人にやらせるリスク」を取るとは思えません。
だって「我は公暁である!」と名乗ってから切りかかるのではなく僧形でこっそり近づく計画なのですから、もし途中で気づかれて成敗されたら、ターゲットは始末できないわ「卑怯な殺し屋」のまま公暁が死ぬわで、黒幕の面目も丸潰れです。
そもそも次期将軍が実行犯として現場で死んでしまったら、三浦氏の立場はどうなるんですか。
執権だのなんだのと言ってられませんよね。
もし生きて捕らえられても、黒幕として三浦の名前が出てきたら戦争です。
そんなリスク、彼は絶対取らないと思うんです。
なので「2.三浦義村説」も考えられない。
動機が無い北条ヨシトキ、動機はあるがリスクを恐れる三浦義村。
この2人が結託していた可能性もゼロでは無いにせよ、やはりメリットが無さすぎる。
「4.北条ヨシトキ・三浦義村両人説」もナシでしょう。
そうなると「5.後鳥羽上皇説」が浮上するわけですが、後鳥羽上皇(ごとばじょうこう・尾上松也)は「源実朝だからこそ」鎌倉を遠隔で操縦できると考えていたのではないでしょうか。
ましてや穏便に、我が皇子が鎌倉殿になるという計画には同意してた。
もし実現したらそれはそれで京vs鎌倉でモメたりもしたんでしょうけれど、とりあえずは「源実朝路線」が継続することは、上皇の意思でもあったはずです。
だから「5.後鳥羽上皇説」もナシ。
『鎌倉殿の13人』、見事な脚本
ドラマでは「公暁が源実朝を襲う」という推測と情報が北条側にすでに伝わっており、三浦義村の暗躍すらバレています。
源実朝本人にも知れ、「公暁が鎌倉殿の地位を狙っている?」と疑問すら持つほど。
そうなると儀式は「キャンセル」か「警護を厳重にする」か「暗殺者を先に始末する」しかないわけです。
暗殺者がわかっているのなら、それが一番安全。
だけどどの策も、取られなかった。
北条ヨシトキに対し、未来の計画として「御所を西(六波羅)に遷す」というとんでもないことを無邪気に言い出す源実朝。
これが、こんな坂東の論理から逸脱した計画が、武士たちに納得できるわけがない。
天下を取るまで鎌倉を動かなかった源頼朝と違い、「京の文化」に憧れ続けた源実朝。
渡宋計画は潰した北条ヨシトキでしたが、小細工でどうこうという青年の夢の範疇を超えた源実朝の言葉に、唖然としたと同時に抑えられない怒りが湧いたようです。
彼は「こいつ(源実朝)はやばい」とハッキリ決意するきっかけになりました。
北条ヨシトキには、源実朝を殺害する動機ができたんです。
それと同時に、源仲章(みなもとのなかあきら・生田斗真)を危険人物としてターゲッティングしたこともハッキリしました。
ちなみに源仲章の生年はわかっていないですが、北条ヨシトキと同い年だと仮定するとこの時56歳。
源実朝の教育係として鎌倉にいながら前年には従四位下、そして文章博士になり昇殿の資格も得ています。
知っていたのに防げなかったのか
源実朝暗殺に関することは黒幕を含めて、謎だらけです。
だけどドラマのように「黒幕ではないが計画は知っていた」なら、暗殺は容易に成功しますよね。
「暗殺させる」のではなく「暗殺を止めない」という消極的推奨。
源実朝が死ぬパターンを、止める人がいないんだから。
大江広元(おおえのひろもと・栗原英雄)があっさり「仲章には死んでもらいましょう」と言いました。
北条ヨシトキには源仲章を殺す動機ができたんです。
鎌倉殿をそそのかし、幕府を危うくする男だからです。
幕府という組織を守るために、「領土を安堵してくれるからこそ」鎌倉殿を守るために狂犬のように吠え、鬼のように残酷になる御家人たち。
貴族である源氏にはわからない理屈が、坂東武者たちにはある。
兄が死んだ理由を悟った源実朝は、母(北条政子)に心情を吐露し、公暁への同情を口にします。
源頼家(みなもとのよりいえ・金子大地)、その息子である公暁を蔑ろにする北条の冷酷さが改めて言葉になって露見したわけですが、源実朝が言った「貴女がわからない」というのはほんとにそうなんですよね。
北条政子の心情はいったい、鎌倉に来てからどんなものだったのか…。
後世には悪女とまで言われた彼女が、夫・息子・兄弟を当然のように次々失う苦しみ。
彼女に比べれば、公暁の悔しさや恨みなどペラッペラの薄いものだと感じます。
誰かに煽られたら、軽々に感情を爆発させ、情勢も読めずに凶行に走ったクズ。
なんだかんだ言ってお前は優遇されて、裕福に暮らしてるじゃねえか。
なんのために修行してたんだこのおぼっちゃまは。
「これだから源頼家の血は…」とか言われてそう。
そんな心情を察してか、源実朝は公暁に会い「義は我らにある」と説得したつもりになってしまいました。
歪んだクズにはそんなの、通用しないのに。
「雪の日」
この日鎌倉は夜になり、雪が降り出しました。
いつの間にか積雪は60cmを超えるほどになったそうです。
「三浦義村は暗殺を知っていた黒幕だったが、この日の実行は中止にするつもりだった」ので、「公暁単独説」が成り立つことに。
公暁は怨念を募らせた理屈として、母であるつつじ(辻殿・北香那)に「(貴女は)父上を無惨に殺され、息子を仏門に入れられ、暗君の妻として謂れなき汚名を受けて生きなければならなかった」と言いました。
これが、公暁が「自分が将軍になって恨みを晴らさなければならない理屈」なわけですが、よく考えるとそんなの、絶対通らない理屈なんですよね…そんな恨みがモチベーションでひっくり返せるような状態では、もう鎌倉はない。たとえば公暁の乳母夫である三浦氏が、自らの天下に持っていくには北条ヨシトキ以下、北条氏を皆殺しにするしかない。大戦争です。それを招来するほどの個人的恨みです!これは!って言ってるんですよ。暗君確定じゃないですか。
ここからは修羅の道
今までだってじゅうぶん修羅の道だと思うんですけれど、大江広元の承諾もあり、「源仲章には死んでもらう」と告白した時の北条時房(ほうじょうときふさ・瀬戸康史)の微動だにしないリアクション、おかしい。彼はおかしい。メンタルが強すぎる。まるで書類でも処理する時のようなあっさりした飲み込み。えっ、なんでですかとも問わず、まさか今日ですかとも口を挟まず、当然のように受け入れてますよね。
彼はすでに「兄様、何か考えてる顔だ」とわかってた。
源実朝に対しても「もはや愛想が尽きた」と吐露する北条ヨシトキ。
北条ヨシトキが見捨てる時は鎌倉殿の廃位ではなく殺害か…にしても、公暁に襲わせるというのはなんとも危うい。
成功すれば「源氏どうしの恨みの果ての内ゲバ」で済ませられますが(ほんとにそうなった)、失敗したら双方、何を言い出すかわからない。
あっさり別の暗殺技術者にやらせればその方がいい。
実際、ドラマ内では源仲章をトウ(山本千尋)が殺そうとしてましたよね。
よほどその方が楽だし歴史を捏造しやすい。
だけどそうせず、鶴岡八幡宮の境内でそれをやることにした。
北条ヨシトキは、源実朝が公暁に殺されたらその場で公暁を討ち取るつもりだった。
それで解決するつもりだったのですね。
つまり北条ヨシトキが考えた「ここで死ぬ人」は
・源実朝
・公暁
公暁は、源実朝と「北条を討つ」ことの同意を得ていた感覚でもあったけれど、源実朝を殺す計画は実行するつもりだった。
つまり公暁が考えた「ここで死ぬ人」は
・源実朝
・北条ヨシトキ
どっちにしても源実朝は殺されるんかい。
北条ヨシトキが源仲章に差し向けた暗殺技術者トウが捕えられ、半分バレてしまいました。
それを半ば脅迫のネタに、太刀持ちを代われと迫る源仲章。
北条ヨシトキと場所を代われる人はそうそういないとは言え、なぜ交替したのか謎です。
そして源仲章は、公暁・三浦の「源実朝暗殺計画」を知らなかったのか???
上に出てきた「1.北条ヨシトキ説」は、この時北条ヨシトキが生き残ったから言われることになったんですね。
今日の『鎌倉殿の13人紀行』は、ここでした。
覚園寺