自論構築過程

普通はそんなものには騙されない。じゃあ普通ってなんだ!?

投稿日:2018年6月4日 更新日:

「普通、そんなのひっかからないよー!」

なんて言いますよね。
確かにそうです。

普通、あんなのにはひっかからない。

オレオレ詐欺にしても

「母ちゃん!俺だよ俺!実は事故おこしちまってさぁ…」

なんて。
普通、ひっかかりませんよね?
だけど、被害額は年々増加している。
にわかには信じられない。

「普通そんなの、引っかからないよ。」

これ、自分もよく言う言葉ではありながら「じゃあ、普通ってなに?」とも思うんです。

普通、麻原彰晃みたいなおっさんに、魅力なんか感じないでしょー!

とかもそう。

「普通」はね。

じゃあ、あの人たち(オウム信者とか詐欺被害者)は、普通じゃなかった、ってことになりますよね。

そうなんですよ。
ああいうのは「普通じゃない状態」だから引っかかるんです。

では、「普通じゃない状態」って、どんな状態でしょう?

ノックアウト強盗、っていうのがありますよね。
「ありますよね」って見たことないけど、そういう強盗がいるんですよ。

とにかく急に殴ってくる。
物理的に殴打してくるんです。
ノックアウトされたあとだから、所持品盗られ放題。
なんて原始的で、なんて暴力的で、なんて原始的な犯罪なんでしょう。怖い。
昏倒してしまうともう、それが逆に強盗かどうかもわからないけど。

単に「ノックアウター」だったのかもしれない。
盗らずに去る、みたいな。

そんなプリミティブな強盗がある一方、世界にはいろいろ手法もあるそうなんです。

お昼休みのビジネス街で、財布だけ持ってランチへおもむくOLとかサラリーマン、見かけますよね。
財布だけ手に持って。

私も基本ずっと手ぶらでいたい人間なので、どうも夏、ポケットに財布入れるとお尻が暑い、と思ったら財布は手で持ちます。
これを狙ってる奴らがいるんです。
よく言えば「専門の業者」ですね。

日本は他の先進国に比べて都心の治安が異常なくらいに良いらしいので、「財布を手にもつ」はお手軽な方法くらいに思われていますが、海外へ行くと「財布は絶対に手に持って歩くな!!」と言われるそうです。
とにかくずっと狙ってる奴らがいるから。

「ケチャップ強盗」なんかそうですよね。
街中でぶちゅーっっとかけてくる。
何をするんだてめー、という怒りより「服にケチャップがあああ」という「状況」にオロオロしてしまう。

ああああ!なんて言ってるうちに、もううう着替えええええ!なんて思ってるうちに、横から仲間がひったくる。

これって見事に「普通じゃない状態」を作ってるんです。

驚いたのは、「自傷する強盗」がいるらしいということ。
目の前に現れた「自傷係」が、自分の腕をナイフで切ったりするんですって。

腕から流れる血液。
迸(ほとばし)る血潮。
叫ぶ男。滴(したた)る赤。
よぎる事件性。
滾(たぎ)るヘモグロビン。
止まる時間。
騒ぐ野次馬。

ほんの一瞬で、第三者ではなく当事者として巻き込まれてしまって「普通じゃない状況」を作り出されてしまう。

血や怪我に慣れていない私たちは、自然に、傷口と痛がる男に精神のすべてを持っていかれる。
いわば神経が痺れて、「手で財布を持っている」という感覚ではなく、息をしているのも忘れて、目だけが動いている状態になる。

そうなった時、つまり心を奪われた時、横からサッと奪い去る。
マーク外す飛び込みで僕はサッと奪い去る〜、んです。

「あっ、…え?え、あ、あああっ!!!」

となるそうです。絶対すぐに反応できない。

まさか財布を奪うために、目の前で自分で傷をつけて血を流す奴がこの世にいるなんて、想定してないですもんね。

その目の前の赤き血潮と、盗難とが結びつかない。
初動が遅れて、追いかけられなくなる。

いえ、盗られた!と思った瞬間にも我々はひょっとすると、まだ、ケガ人の心配をしていることでしょう。

こうやって、「普通じゃない状態」は作られる。

だから「普通そんなの引っかからないだろう?」っていう非難は、「それは単に、お前が普通じゃない状態じゃないからだ。今」ということが出来る。

仮想通貨でスカつかまされた人とか、度重なる「これは儲かる!究極BO商材!」とかを買わされてしまって「どこがどう儲かるのか、今冷静に考えると1ミリもわからない」と投資詐欺に引っかかって後悔している人とか、みんな瞬間的に「普通じゃない状態」にさせられているんです。

踊る宣伝には常套句があり、

「先行者利益」
「今だからこそ」
「秘密の情報」

など、「早くしないと利益を取り損ねるぜ!」というニュアンスがたっぷり含まれています。

「急いてはことを仕損じる」なんて言いますし「慌てる乞食はもらいが少ない」なんてことも言います。
つまり「急かせれば」、「慌てさせれば」、まっとうな判断ができなくなるのが人間、なのです。

オウムの麻原彰晃も、食事を制限し、修行と称して無理をさせ、瞑想と称して監禁し、神秘的宗教体験だと騙して幻覚を見せ、早くこの世を救わないといけない、という「普通じゃない状態」を創出してコントロールした。

みずからは、すかいらーくでパーコー麺を食いながら。

いわゆる「洗脳」は、まず「普通じゃない状態」に放り込むことから始まるようです。

そう思うと、騙されないためには「普通の状態」をいかに保つかが大切、ということですよね。

こう書くと当たり前すぎて何も書いてないに等しい状態になってしまうみたいで怖いんですが、「普通じゃない状態を作り出そうとしている連中が、常にいる」ということ知っておく、これは重要なことですよね。

その上で、先述の「自傷強盗」は、思い出すのに良い例、だと思います。







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