仁侠ものチャレンジ

日本侠客伝 白刃の盃

投稿日:2020年4月13日 更新日:

日本侠客伝 白刃の盃

なんかちょっと、雰囲気違う今作。

「◯○の◯」というパターンのタイトル、語呂のおさまりの良さで、よく使われますよね。「プルシアンブルーの肖像」とかもそう。「鬼滅の刃」もそうですね。

「白刃」と「盃」は両方、ヤクザ映画に出てくるキーワード。
直接にはつながらない単語なんだけど、「の」で接続するとその関連性が強まる。

舞台は昭和初期の千葉県・銚子。

やると決めたらどこまでも
俺がやらなきゃ誰がやる
何も言うなよそれから先は
俺が選んだこの道だ
どこで果てよと悔いはない

 

食堂の前の道路は舗装もされていない。
トラックのナンバーは手書き…。

 

「ブラタモリ」で銚子、日本一の漁港に…というのをやってましたね。観ましたよ。

ブラタモリ 銚子はなぜ日本一の漁港になった?
https://music-book.jp/video/news/news/266331/img-5

いろんなところへ行くブラタモリ。
「ブラ」って、「ぶらぶらする」の「ブラ」だと思うんですが、「ブラタモリ」は散歩番組ではないんですね。1秒も「ぶらぶら」はしてくれません。畳み掛ける情報と移動の嵐。

番組内でも出てきたような記憶はありますが、銚子は「金肥(きんぴ)」とも呼ばれた「干鰯(ほしか)」の生産地だったんですね。ほしか、では変換も出てこないのか…。

それくらい、とにかくイワシが獲れたってことですね。
海で泳いでる魚を干して、農業用の肥料にしようっていうんですから。

それが、まさに金になりまくった。

生産地でこぼれ落ちたイワシを手で拾い集めて売って、東京の青山に土地を買った人までいる、というほど。干鰯はいろんな肥料の中でも栄養が豊富で、上等なものだったんですね。銚子→江戸ルートは、おそらく寛永年間くらいから始まったものだと言われています。

ちなみに現在は、「干したイワシ」という意味での干鰯はあるけれど、それを肥料として扱っている会社はたぶん無い。誰がそんな効率の悪い…と言えてしまうほど、肥料界は進歩したんでしょう。

そもそも「イワシ、獲れて獲れて仕方がない。もう食えねえ」というほど獲れて仕方がないから肥料に…という流れがあって、そこに関西から、さらに優良な鰯漁の方法が伝わって価値が爆発した。

これには、綿花など、稲作以外の作付け面積の増加、及び需要の増加が関わっているようですね。

銚子は親潮と黒潮が交合する場所であり、現在においても有数の陸揚量を誇る有名な湊町、です。

昔から金と物・そして人が行き交う街だったわけで、そうなると「暴力」の存在も欠かせないものだったでしょう。

発展は悪か、善か。

流通量がどんどん増えていく中、トラックを増やすとなるのは物流業者としては当然…の流れなんだけど、「昔からいる馬車人夫はどうするんでえ」というような、これだって労働問題、ですよね。

今考えると「それは古いんだからやめるべき」という意見になりがちなところ。
「仁侠モノ」の中では、どちらかというと「それは古いんだから」は、「悪者」なんですよね。

よそから流れてきた大多喜俊二(高倉健)が、その窮状を救うべく立ち上がる。
彼の背中には、その筋のモノとしか思えないほどのガマン(彫り物)が…。

相変わらず長門裕之(石観音芳造)が素晴らしい。
復讐に向かおうとするところ、愛する女の制止を振り切ったところで、殺されてしまいます。

追い詰められる仲間たち。
義侠心から、単身殴り込みをかける大多喜俊二(高倉健)。

日本刀で、どんどん斬り進んでいく。
親分の根占(天津敏)を仕留め、復讐は果たされました。

会社の仲間が駆けつけたときには、警官隊(提灯さげてサーベル持ってる)に既に捕縛され、病身の女房には「死ななかったとだけ、伝えてもらえませんか」とだけ言う大多喜俊二(高倉健)。

 

今回、「終」じゃなくて「完」で終わります。

「終」と「完」は、ちょっとニュアンス違いますよね。

「終」は、「この話、おわりです」という感じ。

「完」は「すべて、フィニッシュであります」という感じがする。

おお、シリーズ完結なの!!?と思わせる。
だけど今作はまだ6作目。
普通に、なんと同じ年、7作目が公開されますからね。

なんにも「完」ではない。

でも、冒頭にも書きましたが、なんか雰囲気違うんですよね、今回。
だからもしかしたら「今作が最後」みたいな空気があったのかも。

 

 

ーシリーズ11作ー

第1作『日本侠客伝』1964年8月13日公開
第2作『日本侠客伝 浪花篇』1965年1月30日公開
第3作『日本侠客伝 関東篇』1965年8月12日公開
第4作『日本侠客伝 血斗神田祭り』1966年2月3日公開
第5作『日本侠客伝 雷門の決斗』1966年9月17日公開
第6作『日本侠客伝 白刃の盃』1967年1月28日公開
第7作『日本侠客伝 斬り込み』1967年9月15日公開
第8作『日本侠客伝 絶縁状』1968年2月22日公開
第9作『日本侠客伝 花と龍』1969年5月31日公開
第10作『日本侠客伝 昇り龍』1970年12月3日公開
第11作『日本侠客伝 刃』1971年4月28日公開

 

…2020年は、「仁侠ものチャレンジ」に取り組むのでござんす。
Amazonにて万事万端よろしくお頼もうします。

 

 







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