文字は簡略化された。
表意文字(それだけで意味を有する文字)から、表音文字(音だけを表す文字)へと簡単に変更され、広められた。
だから、神聖かつ不可侵な立場にあった僧侶や貴族など、一部の人間しか読めなかった時代より、文明は広く、発達した時代を迎えることができた。
それまでは話し言葉しかなく、複雑な思考ができないとされていた。
文字に残すと、考えた形跡を残しておけるから、それはいったん脳の外へ置いておいて別の複雑な思考をし、後でそれらを紙上で結合する、という作業もできるようになったんだろう。
文字を持ち複雑な思考を独り占めしていた特権階級は、命令を奴隷に伝えるために文字を簡略化した。
そのせいで、広く多くの人が思考を深め、自身や家族を守るための成功や失敗を多く知ることができ、文化は違う方向へ進むことを余儀なくされた。
日本列島に住んでいた人々も、長く文字は持たなかった。
文字が入って来た途端、爆発的に「文学」が生まれ、文明が発達した。
もちろん、それまでに既に、話し言葉において、高度なテクニックが生まれていたのだろう。
そこへ文字が注ぎ込まれたということなのだと思う。
アルファベットは表音文字として、広く、途轍もない勢いで世界を席巻している。
ヒエログリフから生まれたアルファベットが、これ以上簡略化されることは、もうないだろう。
デジタル信号としての「0と1」も簡略化と言えなくはないのかも知れないが、それが人類にもたらしたのは果たして、なんらかの「特権階級からの解放」と言えるのだろうか。言える気がする。
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1日1個、一年続けたら自動的に少しだけ賢くなるんじゃないか実験。
デイヴィッド・S・キダーとノア・D・オッペンハイムのベストセラー。小林朋則氏訳。
歴史・文学・芸術・科学・音楽・哲学・宗教の7分野から、365日分の知識。
この本を読みつつ、
知ってるようで知らなかったこともちゃんと知りつつ、
ああそうなんだね〜なんて思いながら、
少しだけ書くことを続けます。
1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365