『落下の王国【THE FALL】』を観た。
わけのわからない物語が進む。いや、空想の、いわば“寝物語”なのだからわけがわからないのは当たり前かも知れない。
わけがわからないのは劇中劇である「復讐譚」の部分であって、映画全体を貫くお話はわけがわかる。
問題は映像の数々である。
これらの映像を、物語として映し出すには、わけのわからないストーリーをでっち上げる(言い方は悪いが)しかないという感じがする。
つまり、理路整然と伏線回収や感情移入や視線移動などを丹念にやっていたら、あの美しい映像「のみ」での進行は不可能だったのではないか、と思わせてくれるのだ。
24以上の国々でロケが行われたという。
詳細はわからないが、「崖を登って眺める景色がもう別の国」というレベルでの「絶景の連続」なのである。
世界遺産に登録されている場所での背景を含め、絶景しか出てこない。
そこには衣装の凄さも当然加味される。
あの衣装たちがなかったら、異質で幻惑的な世界観には決してならなかっただろう。
季節も、時代もわからない。
エンジンの付いている自動車があったような気がするが、拳銃を持ちつつも宿敵は「総督」で、まるで古代ローマ時代のようでもある。
空想の物語であり、それを語る男そして周りの人たちも、現実と混ざり合っている。
さらに「語る男」は役者でもあり、男の作った物語がどこまで彼の現実を反映したものかも、彼がずいぶん感傷的であるがゆえに、よくわからない。
なにより、主人公である少女(アレクサンドリア役・カティンカ・アンタル)が素晴らしくて素晴らしい。
初公開から17年を経ている現在、彼女はイギリスに在住し、演劇で学士号を取得した上で出版に関する大学院の学位も持つ才女へと成長しているという。役者はやっていないそうだ。
わけのわからない物語が2時間、積み重ねられていく。
そしてなぜか、最後には泣いている。
なんだこの映画は。
とんでもないものを観てしまった感じ。
これに比べりゃ(以下略


































