若干雑感羅列集

【チャーハンを】年をとると電話にゃ出ない、潔癖症と今時の若者【隠す場所】

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電話にゃ出ない

不躾な電話には出る必要がない。以前は、出る必要があった。電話しかなかったからだ。電話しかない時代に電話に出ないことは、即拒絶・即断交を意味した。手紙しかなかった時代に、読まずに破り捨てるようなものだ。黒ヤギさんじゃなくても怒る。電話に出なくても連絡が取れる手段が一般的になって以降、電話には「相手の時間を奪う身勝手」という要素が色濃く加わった。「電話の方が早く済む」と思っているのはかける側だけであり、かけられる方にとって、その電話は突然かかってくるのだ。そしていつ終わるかわからない身勝手な要件が進む。もちろんその間、こちらの用事や作業はストップする。双方の合意がある場合にのみ、双方にメリットがあるのが電話だ。「声を聞きたい」と言われても、相手による。それが電話だ。「あの人はいつかけても電話にゃ出ない。が、それ以外のレスは早い」と思われることは、ますます大切なスキルになってくると思う。

 

年をとるとスピードが上がる

「道を覚える」に似て、年をとると省略化・簡略化が上手くなるので、そのぶん、考えをめぐらす回路が固定してくる。これはこう、あれはああ、と余計な回り道をしなくても済む。それは好き嫌いの固定でもあり、けっきょくのところ新しい商品などに手を出す回数が少なくなり、既知の評価の定まったものばかりを好むようになる。古いものに価値を見出す自分、に価値を見出しがちになる。評価の定まった物に便乗している方が楽だからだ。未知のものに手を出す冒険は、体力を予想外に削る可能性があるので避けたがる。つまり精神の落ち着きと体力の衰えとは、不可分な関係にある。同じことを繰り返すことを善しとするので、それについていちいち考えない。考えないので鮮明な記憶には残らない。印象も強くならない。懐古するときにスキップできてしまうのだ。だから「年をとると、時間の経つのが早く感じる」のである。

 

今時の若者の対義語は

古代エジプトの発掘現場で、手記が出てきた。そこには「この頃の若い者は才智にまかせて軽佻の風を悦び、古人の質実剛健なる流儀をないがしろにするのは嘆かわしいことだ」云々と書かれていたという。柳田國男がイギリスの教授から聞いた話として『木綿以前の事』にエピソードが収録されている。「今時の若者」の対義語は「古代の若者」ではない。「今時の若くない者」である。単に「今時の若者」に関するダメなことが記録されるのは、「今時の若くない者」側に、それを記す力があるというだけである。権力勾配は何千年も変わらず基本的には「年長者>年少者」なので、まるで「今時の若者は永遠に変わらずダメである」という文脈で語られることが多かっただけだ。インターネットの普及で、発信力における勾配が変わり始めた。いやいや「今時の若くない者」のダメさもなかなかのものだよ?と可視化・周知されるようになった。それらが良いことなのかどうかはわからないが、人は年を取ると手を替え品を替え、無意味に説教したくなるということだけは確かなようだ。

 

潔癖症と名乗る男に気をつけろ

「ニセ潔癖症」を自称する人は割といる。それは「綺麗好き」とは違い、過度に不潔を嫌う風を装う、実際にはそんなに清潔ではない人らのことを指す。同じように「ニセ人見知り」を装う大人もいる。総じて「ニセ繊細さん」と呼ベる。繊細ぶっている大人(特に40代くらいの男性)は、「人見知りなんです」「潔癖なんです」と言えば繊細なイメージで見てもらえると思っているらしいが、繊細な人は初対面の人の目を見て「人見知りなんで〜」とは言わない。そんなことができるくらいなら、人見知りとは言わないのだ。自分のことを「人見知りなんで〜」などと平気で言えるのはガサツな証拠であり、自分勝手の告白だ。潔癖なんですと騙る「ニセ潔癖症」は男性の場合、女性に近づきたいだけだったりする。他人の〇〇は触れない、などと言いつつ共同温泉には「気持っちええ〜〜」などと喜んで入るし、風俗にも足繁く通う。それらが矛盾なく両立しているようなので「ああ、キャラ作りなのね」と生暖かく見守るしかない。本当の潔癖症(強迫性障害)は、日常の生活にも支障をきたす大変なものである。

 

チャーハンを隠す場所

今の日本は、チャーハンを隠す場所には事欠かない。室町末期から始まった戦国時代には、各地の武将が一国を領有し、隣国と争いながらそのチャーハンの収穫量を競い、天下への発言権を強めるための争いをした。チャーハンに含まれる具にも、その時代が反映されるようだ。かつて古代中国の殷(いん)王朝は、具に何を入れるかで始まったクーデターにより姫発(きはつ)によって倒れた。姫発はのちに周の武王と名乗り、各地によってバラバラだった呼称を「チャーハン」と定めた。のちに殷時代の、バラバラだった呼び名を惜しむ形で「パラパラチャーハン」を復活させたのが秦の嬴政(えいせい)であり、彼は中華を統一後、チャーハン始皇帝を名乗った。日本では平安末期、宮中の女御たちから派生した「チャーハン隠し」という遊びが京の街にも広がり、すぐに全国にも普及した。江戸中期にはチャーハン隠し問屋も活況を呈し、歌舞伎「大江戸炒飯隠仕込鉄鍋(おおえどちゃーはんかくししこみのてつなべ)」は、現代でも人気の演目である。

 







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