若干雑感羅列集

絶交と背の順と食べ放題と目つき

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・友人との絶交は悪か

絶交なんかわざわざしなくても疎遠になってとりあえず10年経過、っていうのはよくある話で、嫌いでもないし喧嘩もしてないし連絡先もそのままだけど一言も言葉を交わしていない、だけど友達っていうこともぜんぜんあり得る。携帯電話のなかった時代、待ち合わせの約束は事前にピンポイントに場所と時間を決めないといけなかった。子供の頃は友人の家族が出るであろう電話をかけるのが億劫で怖い時もあったけど仕方のないミッションだった。現在は個人とダイレクトに連絡が取れるので、待ち合わせの約束の「詰め」は直前でも良くなった。たとえば駅名だけ伝えておけば、どこそこの前にいる、というのはその日のその時間に連絡すればよい。それができるので「連絡はいつでもできる」状態が維持され、「連絡はしてないけど1秒後には連絡できるスタンバイ状態」で10年以上が経ったりしている。絶交は、「絶対に関わらなければならない不可抗力が生じる濃密な空間」だからこそ起こることで、自由な意志で交友関係を選べる年齢になればわざわざ「交際を絶つ」と宣言したり決意することはない。あいつは苦手だ、とかあの人はなんだかやっぱり嫌いだわ、と思っておけばいい。だが、「嫌いだがわざわざ絶交しない」と「連絡してないだけで10年経つ」の区別はつけにくい。10年も経てば、自分でもそのどちらかだったかがわからなくなってくる。わからなくなってからが真の孤独。

 

・背の順は悪か

小学校で背の順で並ばせるのは差別だ、と主張する人がいる。全国には校則に謎のルールや判断基準がある学校があって、それを取り締まることで得られるのは教師の満足感だけではないのかと言いたくなる奇習と化した行き過ぎがある。「最も背の低い生徒はクラスに1人しかいない」という事実をマイノリティを守ろうという観点から廃止しようとする思いつきは、そもそもは悪いものではないとは思う。ただ、では背の高い順にした時に生まれる「背の高さで1番前になってしまう生徒はクラスに1人しかいない」というマイノリティの発生はどう防ぐのか。名前順にしたときに生まれる「アイウエオ順で1番前になってしまう生徒はクラスに1人しかいない」というマイノリティの発生はどう防ぐのか。「親の年収が低い順で1番前になってしまう生徒への差別が生まれる」という問題はどうするのか。そんなの本人のせいじゃないし、どうしようもないから諦めろよ、とでも言うのだろうか。背の順と何が違うのか。教師がやるべきは「背の順で並ばないことで差別を助長しないよう啓蒙活動をする」ことではなく「目の前のクラスで起こりうる、背の順なんかで人をバカにするアホ生徒の考えに、きっちりした指導する」ことではないのか。これは現職の教師からの問題提起だそうだが、決して「並び順などは毎回、都度、バラバラでいい。並びたい順に並べばいい。それがマイノリティを尊重することにつながるのだ!」という主張はしない。自分の仕事が増えるからだ。

 

・食べ放題は得か

食べ放題はいろんな料理が格安で食べられる利点があって大人気だ。ただし、たくさん食べられるというメリットは、たくさん食べたく(られ)ない人にとってはそのままデメリットとなって跳ね返ってくる。全体を楽しむために料金も抑えられているから、そこまですごい超優良高級食材は使われていないパターンが多いだろう。もちろん「良いものを少しだけ食べたい」などの理由で自分には合わないなと思ったら行かなければいいだけので棲み分けができており、問題にはならない。当たり前すぎてあまり誰も言わないが、食べ放題はたくさん食べた方が得だと誰しもが思うので、普段より食べ過ぎる人が多い。食べ過ぎは苦しみそのものだから、実は良い印象を持って帰ることは少なかったりもするのだ。満腹が空腹に変わる頃にはそれを忘れて「また行きたい」と思ってしまう。もしかすると記憶力の良い人ほど、食べ放題からは足が遠のくのではないかとさえ考えられる。実は食べ放題に払う料金と同額なら、相当にお腹いっぱいになるほど食べられるお店はいくらでもあるのだ。

・目つきの悪さは悪か

身体的な特徴を外科手術で変化させるという選択肢を採らないのであるならば、目つきの悪さはアティテュード(態度)の問題であると言える。生まれつきの見た目に乗じて、友好的で親和的な気持ちが醸し出されていない可能性が高い。どこかに「自分はこんなもの」という諦念と、その諦念でカムフラージュされたナルシシズムが隠れているのではないだろうか。態度が悪いと思われた方が楽、怖いと思われた方がナメられずに済む、などの戦略は日常にはあり得るから、選択的に改善しないまま現状に至っているのだろう。人付き合いにおいて、必ずしも柔和な、厚情な人柄を前面に押し出す必要などはないが、もしそれで苦労が伴い人間関係の苦痛にすら繋がっているのなら(身体的な特徴を外科手術で変化させるという選択肢を採らないのであるならば)、言葉を先行させてしまうしかない。欠点を特徴として先に開示する。「目つきは悪いですがコレ、にらんでないですからね〜!」とひょうきんな態度で話しかけてしまうしかない。心のどこかで「ドスの効いた、男らしい、いかつい、貫禄をすら出す道具」として目つきを使いたいという思惑がないのであれば、目つきの悪さは言葉と態度により、愛嬌に転じさせることが可能なはずだ。「そんなのできっこない」などと放置することももちろん可能だが、そうなると問題は「悪いのは目つきではなく了見である」という、人間の本性の部分にかかってくるのである。







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