第45回「八幡宮の階段」をご覧いただきありがとうございました。
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※配信期限 : 12/4(日) 午後8:44 まで
※要ログイン#鎌倉殿の13人#柿澤勇人 #寛一郎 pic.twitter.com/8GXzKBwx90— 2022年 大河ドラマ「鎌倉殿の13人」 (@nhk_kamakura13) November 27, 2022
実朝の
右大臣就任を祝う武家の都。
しかし、三代目鎌倉殿
代替わりで生まれた歪みは、
取り返しのつかない
ところまで来ていた。
復讐の刃が向かう先はーー
健保7(1219)年1月27日。
北条ヨシトキ(小栗旬)は外された。
源仲章(みなもとのなかあきら・生田斗真)を暗殺しようとした弱みを握られ、太刀持ちの役割を「外された」。
これが、儀式の直前に北条ヨシトキが参列しなかった「謎」として描かれました。
北条ヨシトキも三浦義村(みうらよしむら・山本耕史)も、源実朝暗殺計画を知ってた。
公暁(こうぎょう・寛一郎)が恨んでいることも、なんならそんな実行犯になってしまう人間が、次の鎌倉殿になどなれるはずもないこと、を。
それでも源実朝(みなもとのさねとも・柿澤勇人)は死ななければならなかったんでしょうか。
北条と三浦の圧力で、誰かに鎌倉殿の地位を譲ることはできなかったんでしょうか。
いや、できたはずです。
現に、親王を京から迎える手筈は進んでいた。
源実朝・北条ヨシトキ両方の命を狙っていた公暁は、とうぜん鶴岡八幡宮別当として、儀式の参列順も知ってたでしょうし、計画も綿密に練られていたはずです。実際には「銀杏の木の影に」なんてことはなかったとしても、です。
ドラマでは、先に源仲章が斬られました。
恐慌をきたす源仲章にトドメが刺され、「まさか」と公暁は驚く。北条ヨシトキじゃない…でもまぁいいか。
ゆっくりと源実朝に近づき、恨み言を述べようとする公暁。
源実朝は自分の「天命」を悟り、抵抗しないことを決めました。
素直に斬られてしまいました。
この様子をみんなで見てるっていう異様な光景。
警備もへったくれもない。
親の仇を討ったぞ!と公暁は叫びましたが源平合戦の頃ならいざ知らず、衆人環視の中で貴人を堂々と殺し、その後に安寧な地位に就けるわけがない。というか「親の仇を討ち果たしたか。よくやった」と思ってくれるのってものすごく少数の人のはずですよね。
だって「公暁の敵討ち」を認めるということは、北条ヨシトキによる先代の、修善寺幽閉と暗殺を認める必要がありますから。そんなのは表向き、表明できるわけもありません。
公卿は、殺すしかない。
それでも北条政子(ほうじょうまさこ・小池栄子)は、助けてあげてと言いました。
ただただ、もう身内が死ぬのは嫌だった。
出でて去なば主なき宿となりぬとも軒端の梅よ春を忘るな
源実朝は自分の死を、常にどこかで予感していたのでしょう。
「八重(やえ・新垣結衣)もひな(堀田 真由)も、もう少しできたおなごだったな…」
と北条ヨシトキは嘆息。
浅はかで欲深いのえは、源仲章に籠絡されいずれ、思い通りに操られてしまっていた可能性がある。
そうなると「北条潰し」計画が、後鳥羽上皇(ごとばじょうこう・尾上松也)が進行してしまったのでしょう。親王を送り込み、言いなりの源実朝とともに源仲章が実権を握り、北条氏は追い落として傀儡政権として京から操る…そんな遠大な計画があることなど、目の前の欲求にしか興味がないのえには想像もできない。
だからと言って、先妻たちの名前を引き合いに出すとはなんて嫌なやつなんだ…。
というかそれくらい言わないとわからないのかと、あれは「激怒」してたってことなんですよね。
三浦義村の処世術
加担していたことをしゃべられたら三浦は終わり、と三浦義村は言い、公暁を捕え次第殺せ!と命じました。
あれ?公暁が暗殺計画を企ててることを、北条ヨシトキと一緒にしゃべってませんでしたっけ?
計画はあるらしいけど三浦は関係ないよっていうポジションだったのか…。
公暁/三浦ラインは誰しもが知ってる間柄なので、公暁が三浦氏を頼っていたのであれば即時呼応して、三浦氏が軍勢を率いて御所を急襲し、北条率いる御家人を蹴散らす必要がある。
三浦家の中には、それで行きましょう!っていう人らもいたはず。
強権をもって鳴らした三浦義村が、それを抑えている。
三浦義村はそれ(公暁を擁しての政権奪還戦)をせず、幕府側につくことを選択。
「てっぺんに昇りつめようと思ったが辞めた」と正直に告白しました。
北条ヨシトキの姿を見て、誰がそんな役割になりたいと思うか、と。
だけど「公暁が北条ヨシトキを狙っていたこと」は知らなかったとシラを切りましたね。
どこまでホントかわからん。
どこまでも謎な思考の男です。
そして自ら公暁を殺しました。
三浦氏が直接、幕府(北条氏)と激突しないようにするには、三浦氏みずからが公暁を討ち取るしか方法がない。だからそうしました。
約束し(たように見せかけ)て事後には最大の利益を得る。
だがこの三浦氏の隆盛も、ここからあと30年足らずか…。
公暁は祖母である北条政子に
「私には武士の名はありませんでした」と嘆きました。
せっかく源氏に生まれたのに、支えられた坂東武者たちの権力闘争のせいでまともな継承候補者になれず、他氏との戦いもなかったのに出家させられた、知れば知るほど悔しさが滲み出る人生だったと言えます。ドラマはそこに注目した。
思えば平家に敗れた源義朝の息子である源義経(みなもとのよしつね・菅田将暉)も、鞍馬寺に預けられたあと、奥州へ逃げる途中に元服を「自分だけでやった」そうです。
阿野全成(あのぜんじょう・新納慎也)も、僧形・僧名のままでしたよね。
まさかの「将軍殺害事件」が起こってしまった鎌倉。
大統領が暗殺されたり国王が儀式の途中で殺される街を「物騒すぎる」と思うのは当然です。
朝廷では「なにそれ。なんでそんな感じなん?こわすぎひん?荒すぎひん?」と大騒ぎ。
「親王将軍を迎える」という計画が頓挫しかける中、同時に「源氏嫡流」という意味で実衣(みい・宮澤エマ)がややこしいことを言い出しました。阿野全成と実衣との息子、阿野時元(あのときもと・森優作)を次の鎌倉殿に…。
昔ならそれも可能だったラインだと思いますが、「親王将軍擁立計画」が動き出してしまっている現状(頓挫しかけてるけど)、もう無理して源氏の血を維持する必要はない、という考え方が主流になっています。
源氏がいると争いの種にしかならない…と、みんなうんざりしているのです。
それでも「源氏を担ぎ出す」という勢力はいるはずですが。
首はどこへ?
ドラマでは(ややこしいので)描かれませんでしたが、公暁は源実朝の首をその場で掻き切り逃亡。
捕えられて殺されましたが、源実朝の首はどこへ行ったかわかりません。
完全に行方不明。
これってかなりの謎です。
だって「現職の将軍の首」ですよ?
なぜ探し出し、手厚く胴体と一緒に供養しないのでしょう。
今に至るも、鎌倉に「源実朝の首」はありません。
今回の『鎌倉殿の13人紀行』は、ここでした。
鶴岡八幡宮
源実朝公御首塚