鎌倉殿の13人

鎌倉殿の13人 第11回『許されざる嘘』

投稿日:2022年3月22日 更新日:

挙兵の年の暮れ。

頼朝は力を蓄えている。

打倒平家の旗の下、

鎌倉に集う新たな面々。

真に頼れるのは誰だ。

 

すぐには進まないロマンス

冒頭、「縁者どうしの婚姻はさほど珍しくはない」ということで早くも、八重さん(やえ・新垣結衣)と北条ヨシトキ(小栗旬)が結ばれる…と思ったらひっくり返されましたね。「お断りいたします!」ってはっきり言われてた。かわいそう。

源頼朝(みなもとのよりとも・大泉洋)は鎌倉の大蔵(おおくら)に御所を作り、そこを政治の中心ということに定めました。論功行賞を行なうことで、坂東は源氏が取り仕切る、という実態を作り始めた。

「侍所別当」に和田義盛(わだよしもり・横田栄司)を約束通り、任じましたね。
「別当」というのはその機関の長官のような役職。
どうしていちばん偉いのに「別当」って言うんでしょう。
なんかこう、「別」っていう字が「それらしくない」と感じます。

これには、そもそもはやはり、本当の職務のある者が「別」の職務を担「当」すると言う意味があるそうです。

ある人が兼任していた別の役所の長官、その「別の役職」を指して「別当」と呼んでいた。
だけどいつの間にか、長官そのものを「別当」と呼ぶことになっていったという感じ。

基本的には律令制度に入らない役職(検非違使など)の長官なんですが、これは正式に誰かを単独で指名して就職させるのではなく、他の部署の責任者をやっている実力者に兼任させるというパターンがあったのでしょう。単独で任じてしまうと律令制度から浮いちゃうから、っていうことなんでしょうか。

「御所」って…

鎌倉に作られた「御所」と簡単に言いますが、これは「おわすところ」という意味ですから本来は貴人、それも皇室に関わる人のみが使って良い呼称だったはず。

鎌倉武士たちからすればそりゃ一番偉い人の家なので「御所」と呼んでもいいかも知れませんが、この時点で自邸を「御所」と呼ぶのってかなり不遜な行為なんじゃないかと思うんですけどどうなんでしょう。それともこの「御所呼び」は内々だけのことで、京都には聞こえないように気を配っていたのか…。
「鎌倉殿」も、「そう呼ぶのが妥当」っていう感じなだけ、なんですよね。

鎌倉にいるから鎌倉殿。
ここでも建前はおそろしく大事ですね。

源頼朝が自ら言っていたように「帝をお救いすべく力を尽くし」というところがポイントです。続いて「平家を滅ぼして新しい世を作る」と言ってましたが、ここで「鎌倉の宮と名乗り、新皇に即位す」とか言い出してしまうと平将門の乱の二の舞です。「いや、流石にそれはあかん」と全国隅々までの人々が即座に思い、即座に討伐対象になります。
おそらく鎌倉に参集した人らの大部分が離散し敵になります。

そういうものなんですよね、古来日本は。

朝廷には逆らわず、天皇家を中心とした京の政治の出先機関として鎌倉は機能するのだという建前を、絶対に崩してはいけない。

「朝敵になること」は、この宇宙全体が敵になることを意味しますから、それだけは避けたいのが当時の人々の当たり前の気持ちだったでしょう。常識というよりはこの世の中が動いている原理原則、という感じ。

鎌倉での政治制度も、京の制度を写しています。

和田義盛が別当に任じられた「侍所」は、元々はもっと簡易な、京都で貴族を警護してた武士たちの詰所、みたいな感じの意味だったそうです。鎌倉ではいわば「武士の地ではそれがかなり重要になる」と、格上げになった感じでしょうか。

ドラマでは今回、「鎌倉幕府が今はじまった!鎌倉殿!」みたいな雰囲気すら出てましたが、この時点でまだ源頼朝は無官。「独自政権が芽生えた瞬間」と紹介されてましたが実際は、「御所」を立てて役所を整えて…というのも京からすれば未公認・非公式の振る舞いです。実質的な武力を持って制した、ということが京都には伝わっているし、源頼朝軍は平家へのカウンター勢力であることがわかっているから黙認されている状態です。「鎌倉殿」という官職はありませんから、この整えた政治体制を携えて、どう官位的にも交渉していこうか…というところですね。京都でも準備が進んでいるはず。

源頼朝の挙兵に呼応して、各地で平家に対する反抗が勃発。
当時、どんな軍勢も社寺のバックアップは必須の要素だったので、東大寺もそれに巻き込まれ(あるいは中心的に関与して)大仏殿が焼かれる始末。

今では考えられないことですが、当時の大きなお寺には「軍」と言うしかない大兵力があった。平清盛(たいらのきよもり・松平健)の五男、平重衡(たいらのしげひら)はおそらく大仏殿まで焼くつもりはなかったんでしょうが、近江・園城寺だけでなく南都(奈良)まで大規模に平家軍が出兵することになるということは、源氏の人たちが「勝負の波に乗るべき時」だと思っただけでなく「勝って鎌倉へ参上すれば道が開けるかも」という希望を持ったということでもあるんでしょうね。

源頼朝の強運

1181年、平清盛が死にました。
彼の全盛期に挙兵してたら(たとえば10年前の1170年ごろ)、たぶん源頼朝は死んでます。挙兵から1年後に、平家のカリスマ・総帥がいなくなるという奇跡。

ドラマでは「この手で倒せなくて悔しい」的な感じでしたが実際、これは源頼朝のミラクルの一つと言えるでしょう。

平清盛が死んだら、とうとう後白河法皇(ごしらかわほうおう・西田敏行)が世界を牛耳る時代が再来します。当然といえば当然ですが、この人がしっかりしてれば源義経(みなもとのよしつね・菅田将暉)も死ななくて済んだはず。

いや、それは我々が、世界観を理解してないってことなのかも知れません。
後白河法皇にとって、武士などは犬に過ぎません。
噛まれないように、強い方の犬を弱くなった方にけしかけることでバランスを取るのが彼ら、宮廷の政治というもの。
当たり前ですが法皇(上皇が出家した状態)には「武士の本懐」とか「サムライの生き様」とか「男らしく武士らしく」というような観念はいっさいありませんから「犬の中でも生き残った強い奴が命を投げ出してわしに尽くし続けろ」という考えしか脳内に存在しません。

だけど目の前に、平清盛のように危機を感じる存在は出てきたりしますから「追悼の命令を出す」や「官職をあげる」ことで操っていく。

後白河法皇の老獪な支配は、そのまま宮中の高級貴族たちによる「伏魔殿化」を招き、荒々しい坂東武者はそれに翻弄されることになるんですね。

厄介な叔父

源行家(みなもとのゆきいえ・杉本哲太)が当然のようにややこしいおじさん扱いされてるのは面白いですね。この人が焚き付けることで源氏挙兵のきっかけにはなったのに、ぜんぜん信用はされてない。その様子を、じっと源義経が見ていました。

そして源義経が平気で鎌倉殿に嘘をつくシーン。梶原景時(かじわらのかげとき・中村獅童)との確執の発端が、ここに。素晴らしい流れでした。

平家打倒と共に「京をどうするか」は源頼朝にとって、最重要課題です。

源行家なんかに勝手な軍事行動を取られては困るのが本音でしょう。
全国で起こっている源氏蜂起も、その主導権を最終的に取れるかどうかは政治的にかなり気を使うところ。

現時点ではまだそんな感じではないですが、部下も親戚も兄弟もすべて「討伐対象」にすることができるのが、源頼朝です。

政子解任

かたわらに控える大姫(おおひめ・落井実結子)がいじらしい。

りく(牧の方・宮沢りえ)の夢、「必ず叶えてみせる」と北条時政(ほうじょうときまさ・坂東彌十郎)が約束してました。このデレデレした、若き後妻への遠慮が、のちに勃発する大問題に発展する。

江間の地は小四郎(ヨシトキ)に与えられましたね。

史料には「江間小四郎」という名前で何度も出てくる上、「北条小四郎」とは出てこないそうです。これはつまり北条時政存命の頃、ヨシトキは「江間氏」として独立することになり、北条氏本流ではなかったということなんでしょうかね。だからこそこじれる、八重さんとの仲。

その「ヨシトキが北条を継ぐ」というきっかけも、上に書いた「りくが関わる大問題」なんだから皮肉なものです。

今回の「許されざる嘘」とはいったいどれのことなのか。
だんだんみんな、嘘をつくようになって来ている。

伊東祐親(いとうのすけちか・浅野和之)は自害したとも伝わっているそうですが、源頼朝の命により、息子伊東祐清(いとうのすけきよ・竹財輝之助)と共に誅殺。

次回はとうとう、政子ブチギレエピソード。

今回の「鎌倉殿の13人紀行」は、ここでしたね。

三十三間堂







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