鎌倉殿の13人

前回の鎌倉大河、『草燃える』。

投稿日:2021年3月31日 更新日:

大河ドラマ 草燃える 総集編(NHKオンデマンド)

2021年現在においてはもはやネットスラングにしか聞こえないタイトルですけれど、知りませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

1979(昭和54)年に放送されたNHK大河ドラマ『草燃える』。

第一回のサブタイトルは「蛭が小島の流人」。
最終回が「承久の乱」。

なんと第三回の放送は視聴率34%超えを記録。

その後、何度も30%超えを連発する驚異のドラマ。
大河ドラマって昔、そういう感じだったんですね。

『草燃える』はまさに、「鎌倉時代初期」を舞台にしています。
2022年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』と、設定はほぼ同じでしょう。

なにせ40年くらい前ですから、そのキャスト(配役)が楽しい。
Wikipediaを見てるだけで、1時間くらいすぐ経ちます。

草燃える
https://ja.wikipedia.org/wiki/草燃える

原作は永井路子(敬称略)の、著作から。

『炎環』、最近読みました。

阿野全成(あのぜんじょう。源頼朝の弟)とその妻、保子(やすこ。阿波局。北条政子の妹)にスポットを当ててる短編があって(『悪禅師』)、いろんな人の立場から見る動乱の草創期の面白さ、を体感できました。

総集編のDVDだけが発売されているようですが、「現代語っぽいセリフ」が当時、話題になったそうですね。

たとえば
「ってことはさ…」って言うんです。
「さすれば…」っていう感じではない、ってことですね。
わかりにくいけど。

北条ヨシトキの活躍を描く短編『覇樹』が、永井路子(敬称略)の著作『炎環』ではメインと言ってもよく、もしかすると史上初の、北条ヨシトキにスポットを当てた時代小説だったんじゃないですかね。永井路子(敬称略)はこの『炎環』で直木賞を受賞。

確かに、教科書で習った限りではなんだか無味乾燥なイメージに思えた鎌倉が、永井路子(敬称略)の『炎環』ではみずみずしさをもって、生活臭と、砂埃さえ感じるリアルさで立ち迫ってきます。

大河ドラマ『草燃える』では、北条ヨシトキは松平健。
主役感が伺えます。
その松平健が『鎌倉殿の13人』では平清盛を演じることに…ちなみに『草燃える』の平清盛は金子信雄です。

基本的には、源頼朝・北条政子の2人が主人公。
だけど32話で頼朝が死ぬので、そこからは北条ヨシトキと北条政子が主人公、っていう感じになっていくんでしょうね。

鎌倉における大事件という意味では、源頼朝死後の方が物騒なわけで、2022年の大河ドラマのタイトルも、そこにスポットを当ててる感じがします。

『草燃える』は40年前ですから残念ながらすでに鬼籍に入られた役者さんも多く、だけど名優揃いの素晴らしいドラマだったんだろうなぁ、と思わざるを得ないラインナップです。

【 】は『鎌倉殿の13人』のキャスト。

源頼朝…石坂浩二【大泉洋】
北条政子…岩下志麻【小池栄子】
北条ヨシトキ…松平健【小栗旬】
源義経…国広富之【菅田将暉】
和田義盛…伊吹吾郎【横田栄司】
比企能員…佐藤慶【佐藤二朗】
梶原景時…江原真二郎【中村獅童】
平清盛…金子信雄【松平健】
畠山重忠…森次晃嗣【中川大志】
三浦義村…藤岡弘【山本耕史】
大江広元…岸田森【栗原英雄】

伊東祐之…滝田栄【???】

 

最後の伊東祐之(いとうすけゆき)だけは、ドラマオリジナルのキャラクターだそうです。

伊東祐親(いとうすけちか)の息子、という役。
伊東祐親は、流人となった源頼朝を預かりながら、娘と彼が良い仲になって子供ができてしまうと平氏の威光を恐れて、子供を殺し、源頼朝まで殺そうとします。

なんてことを…と我々は思いますが、当時の判断としては、あながち間違ってはいない、とも思います。

時代は完璧に平家の天下で、生き残りはお恵みで生かされてるだけ、という状況です。
すぐに殺されないだけマシだろという状況でまさかこの先、源氏が勝つなんて、この時点では誰も思ってない。

地方の弱小豪族として生き残るためには、それは当然の戦略だったのでしょう。

けっきょく、伊東祐親は平氏につき、死ぬことになります。
だけど彼の娘は、北条ヨシトキの母になる人なので、敵・味方という分け方だけではわかりにくくて、すごくややこしいですね。

そんな、伊東祐親の息子(架空キャラ。滝田栄)は、状況に翻弄されて様々な経験をし、移り変わる権力と荒れ狂う暴力の時代を生き抜く「違う側面からの語り部」的な役割になる。旧友・北条ヨシトキを助けたり、曾我兄弟の仇討ちに参加して源頼朝暗殺計画に加わったり…。

ドラマの原作となった『炎環』『北条政子』、およびその創作の原典でもある『吾妻鏡』にも、事件の内幕や背景は書いてないことがたくさんあるので、そこをドラマティックに埋める立ち回り、ということですね。

そういうキャラクター、鎌倉殿の13人でも、出てくるはずです。

40年以上経って、中世の歴史的研究の成果も加わってくるでしょうし、大河ドラマで新たな魅力が鎌倉初期に加味される楽しみ、ありますねえ…。

『鎌倉殿の13人』で密かに私が注目しているのは「比企能員(ひきよしかず)」なんですよ。

なにせ『草燃える』では佐藤慶(さとうけい。故人)が演じた役どころを、今回は佐藤二朗なのです。
どちらかというと重厚で悪役っぽいイメージのある佐藤慶、そして比企能員を、なんで佐藤二朗が…という、キャスティングの妙。新旧佐藤対決。

おもしろそうだなぁ…。

「大河」というだけあって、太い流れは現代に、歴史ドラマの厚みを何度も運んできてくれるのですね。

予習として『草燃える』、見たい。







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