こういう記事がありました。
コストコバイト、地方で「時給1200円」 地域の最低賃金はるかに上回り、近隣店に衝撃
https://www.j-cast.com/2015/12/07252542.html
2015年11月20日、国内24店舗目となる岐阜羽島倉庫店が岐阜県羽島市にオープンした。時給はポジションによって分かれ、最低でも1200円。深夜、祝日勤務になると1500円~1600円まで跳ね上がる。岐阜労働局が発表している県最低賃金は746円で、コストコの時給はその1.6倍という「好待遇」だ。
コストコはアルバイトの時給に「同一労働同一賃金」を徹底させている。現在全国に展開する24店舗では、すべて同じ時給で働ける。「最低でも1200円」は全国共通というわけだ。
岐阜県羽島と言いますと、新幹線が停まる1分以外で地元じゃない人が滞在することは一切ないと言われる場所(めちゃくちゃ失礼な言い方を)。
「岐阜羽島駅」停車中の車掌アナウンス「近くにはコンビニもありません」に反論集まる「岐阜羽島に何もない、は嘘」
https://togetter.com/li/1122631
そりゃ、田舎へ行けば高校生だと「820円〜」とか普通にありますよね。
時給は高いにこしたことはない。だって1時間は誰しもに平等だから。
深夜のバイトは流石に1.25倍は欲しいところ。
実は近所の(東京ですけど)コンビニの、「朝、昼、夜、深夜帯、すべて1,000円でバイト募集かけてるの見たことあります。ダブルワークとして夜、働きたい人もいるから区分が分かれてて時給が一緒でも希望者はいるかもしれないし、昼より深夜の方が労働量は少ない、とかもあるかもしれないけど、全時間帯同じはないだろう…と思ったものです。コンビニの仕事って、ぜんぜん楽でも簡単でもなさそうですしね。
このコストコの「最低でも1,200円。」なニュースに、こういうコメントを書いている方がおられました。
なぜ日本企業はできないかというと、とてもつらい話で、日本の企業は「人件費」を増やすと、「経費削減の努力をしていない」として、銀行から融資してもらえなくなるのだそうな。人間の人生の一部を提供させることを「無駄」と考えているのだ。https://t.co/w0XhSdT0ue
— SOW@ぎぶみーじょぶ (@sow_LIBRA11) December 12, 2019
そうなの…?
確かにお店やってる人なんかの話だと「人件費がねえ…」っていう言葉、よく出てきます。
いやいや、あんたのその事業には人が要る(あんた一人じゃ絶対にできない)んだから、雇う人に払う給料を「多大なるコスト」として厄介モノ扱いするなよ…とは思いますが、それは経営者によるんでしょうね。
しかし銀行が「人件費を増やすことは経費削減の努力をしていないとみなす」ことで金を貸さないとなると、それはまさしく「人件費=削れるだけ削るべきコスト」という認識が浸透するのは当たり前ですよね。
He is ゴーンで有名な日産の回復も、莫大なリストラが功を奏した、っていうところがあるそうじゃないですか。そりゃ、クビにして給料ぶん浮かす、なんて誰でも思いつくしすぐに効果出るだろ額面だけ見れば…っていう感じがしてきますし、だからと言ってそういう場面では「経営者は大変なんだよ!?」っていう、寅さんに出てくるタコ社長みたいな嘆きで長年、正当化されてきたんでしょう。
コストコでバイトする、の選択肢がなんらかの理由で絶たれた場合、残るのは2つしかないですよね。
1、コストコ以外で1,200円以下の時給でバイトする
2、岐阜羽島を出て、都会で生きる
いや、何も岐阜羽島だけのことではないんですけど、合わせて、こんなツイートも発見したので。
職場の作業員のマイルドヤンキー的な男子に「先週東京行ってきた」という雑談をしたら、「東京って、行けるんスか!?」という予想外のリアクションが来たんやけど、これもそういう「人間は地元から出られるもの」という概念自体が無いのかなーと思った。
— おおかみ書房公式/劇画狼 (@gekigavvolf) January 21, 2020
どうやらこの話の舞台は、リプ欄を見ると「大阪」なんですよ。東大阪。
マジか。大阪でこれ?じゃあもっと田舎はどうなるのよ。
仕事する。友達とダベる。ネット見る。カラオケ。ホテル。車で走る。ガソリンスタンド。
みたいな生活を「疲れ→癒す」のサイクルの中で繰り返していると、東京なんて何しに行くの?っていうかほんとにあるの??っていう気持ちになってくるのは、理解はできるんです。ここんとこ、東京生まれの人には1ミリも絶対に理解できないところだとは感じます。大げさだけど、今だってニューヨークとかパリとかケープタウンとか、知ってるし行ってる人もいるけど「何しに!?」っていう部分は、自分に降りかからない限り現実味は出てこないんですよね。
地方に住んでいると、田舎がどんどん寂れていくのが手にとるようにわかります。
今は私は東京にいるんですけど、東京ですら、商店街で閉店した老夫婦が営んでいた場所に、新しくお店ができることなく長らくシャッターが下りたままになっている現実を目の当たりにはします。
古くからのお商売を続けているお店が、頑張れば頑張るほどその場所は「新陳代謝しない古臭い商店街」になっていくというジレンマ。ついでに言ってしまうと、その商店街にある「商店会」には、営業している店舗の半分近くが加盟していません。新規のお店ははじかれてるでしょうね。ポイントカードも導入されていますが、加盟店でしか当然ポイントは貯まりませんから、普段から行きたい新しい、オシャレなお店ではなんらメリットがない。
とにかく新しく移住してきた人とか、若い人にはなんのメリットもない。理容店では使えるが、美容室では使えない、みたいな。
駅前の一等地には改築も改善もしない50年前くらいから変わらないスタイルのお店が敷地をドンと取って居座っていて、「この広い敷地にスターバックスがあったら学生も立ち寄ったりして、賑わうのになぁ、世代交代を待つしかないのかなぁ…」なんて思ったりします。老朽化した建物はいずれ取り壊しにするしかなく、地主は商店でなく、次の世代はそんなとこに住んでないから、マンション建設地として貸すことになるのでしょう。
「駅前の一等地にマンションが建ったらその場所は上がり」というのも聞いたことがあります。その場所は、商店街、ショッピングモールとしての役割ではなく、ベッドタウンになったのだと。「行く場所」ではなく「帰る場所」になるのだと。
ヨーロッパの街並みを模して石畳を敷いたはずのモダンな商店街に、いつしか調子に乗って作られた、いっこうに機能していないゆるキャラのテーマソングが、気が狂ったように鳴り響いている。
どうしてこうなったんだ…と、生まれ故郷でもないけれど虚(うつろ)に思ってしまいます。
東京ですら、こうですからね。どこか、都会に田舎を求めてほっとしている自分もいるけれど。
田舎の現状
田舎へ帰ると、これは「崩壊が始まっている」ではなくて「壊滅している」と表現してもいいほど、子供の頃とは違った様子を見ることができます。
・真昼間なのに南側の網戸がガッチリ閉められた民家。
・ボロボロになったまま放置されたビニールハウス。
・雑草が生え放題でそれも枯れ、原野に戻りつつある耕作放棄地。
・廃業したまま更地になっている元・ガソリンスタンド。
・廃業して中古車屋になったがその店舗も撤退し、外骨格だけがそれとわかる廃墟化したガソリンスタンド。
悲惨な情景…ということでもなく、自然の成り行きで陽光の中、目を細めつつこれらを俯瞰すると、ケバケバしくアート感覚も目覚ましく、上昇志向をふんだんに噴出させているのは「パチンコ屋のポスターだけ」ということにも気づきます。活気あるのはパチンコ・パチスロ屋だけ。店舗の周りは草ボウボウの野っ原。
よく商店街との対比で「イオンモール」が槍玉に挙げられたりしますが、私の地元のことを考えてみても、イオンなかったらヤバいです。どこで何を買い物するにも、ほんと、イオン様様です。
あれを見ると、商店街なんか潰れて当たり前ですし、イオンの文句を言えるほど、おたくら商店街はなにかやってたのかと愚痴を言いたくもなります。というかイオンってもう、商店街でしょう。ちなみに私の甥っ子もイオンでバイトしているそうです。
イオンでなんでも済むので、遠くまで買い物に行く必要はそんなにない。
ブランドも一応入ってるし(品揃えは都会とは違うけど)、食料品も充実してる。カルディではコーヒーもちゃんとくれるし。
奈良の田舎ですらそうですから、上で紹介した方の、「東大阪」なんてもっと都会です、なんでもありますから東京を求める必要はない。やたら上昇志向であるとか、ブランド志向であるとか、芸能界を目指すのであるとか、そういう気持ちがない限りは、東京で暮らすことには大きな意味はない。
では、なぜ東京に人口が集中し続けるんでしょう。
2019年11月の数字ですと、東京都の人口は13,953,744人。
毎年増えていってるんだそうです。
東京都の統計
https://www.toukei.metro.tokyo.lg.jp/jsuikei/js-index.htm
それに比して、日本全体の人口ってどうなんでしょう。
もはや、この勢いで減っていってるんですね。
人口推計 令和2年1月報
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/pdf/202001.pdf
「少子高齢化」とセットで言われてしまいがちですが、「少子化問題」と「高齢化問題」はぜんぜん違うことですから、嫁も子もない私が言うのもなんですが、少子化についてなんとかしないと(もう手遅れだと言われてるけど)、日本はとてもとても大変なことになってしまうんですね。
現時点で自民党が最低最悪なところは、「選択的夫婦別姓制度」(ややこしいけど、正確には選択的夫婦別氏制度と言うらしい)について、なんら進展させようとしないところ、ですよね。
まず「選択制」という名前がついているような制度なのに、つまり「選択させない」を選ぼうとしてるその姿勢がおかしいじゃないですか。
選択なんて出来て当たり前でしょう。
家族の形態もずいぶん変化してるわけだし、仕事も含めて、ライフスタイルの多様化もあるし、意識の変化もある中で、どうしても「夫婦になったら旦那の姓になるべきだ、それが家族というもの!」と、頑として譲らないジジイがたくさんいるんでしょうね、自民党には。もう、想像するのが楽なくらいに。そして、それに追従する若い議員さんもいっぱいいるんでしょう。「あの先生の言うこと聞いておけば良い」みたいな人が。そういうタイプが、女性にまでいる、ということが最近、露見されましたよね。
【自民女性議員が発言】夫婦別姓導入に「だったら結婚しなくていい」とやじhttps://t.co/ZcqbVdUSKH
国民民主党の玉木代表が「夫婦同姓が結婚の障害になっている」と訴えた際に、自民党の女性議員から「だったら結婚しなくていい」とやじが飛んだことを明らかにした。
— ライブドアニュース (@livedoornews) January 22, 2020
ダメだこりゃ…
「絶対に別にしろ」じゃないんです、「選択制」です。
「個人が自由に選ぶ」っていうことが許されないっていう方向性、これの意味って自民党の若い人たち、ジジイババアどもは仕方がないとしても、わかってるんですかね…。
少子化は制度で改善されるんです。もっと言えばお金ですね。
「なんとかなる」が分かってれば、子供って増えます。
なんでなんともならない感じなのにどんどん子供増えてるんだっていうご家庭もありますけれど、それは「なんとかなる」の基準が違うというだけで、よそのものがとやかく言うことではないです。
東京へダイヴせよ!?
話が突然とぶようですが、「東京へ行くならサポートするぜ!」っていうサービスを見つけました。
憧れの東京で一人暮らし??
部屋は??仕事は??
普通は、お金をためて、部屋を探して、内見もそこそこに引越しをして、荷物はまだ片付いてないけど履歴書を片手に面接へ行くか…みたいなパターンが多いんですよね。
このサービスは要するにまず「都内の求人」なんですね。
企業やお店が人材を確保して、そこに住居を探すサービスをプラスしてあげよう、と。
お住まいサポートとは
敷金、礼金、仲介手数料すべて0円!東京での新居探しをサポートします!
通常、東京で新生活を始めるときは、
敷金10万、礼金20万、仲介手数料10万、家具・家電など20万円の計60万円の初期費用がかかりますが、
TokyoDiveでお仕事が決まった方はこれらの費用が一切かかりません。
さらに、家具や家電付きのお住いを紹介しますのですぐに東京での新生活をスタートできます。
地方から上京して就職・転職を考えている方歓迎です。
例えば、コールセンターのお仕事。時給1,100円。
家賃補助を30,000円くれる。
交通費も支給ですって。
時給ですから8時間勤務で8,800円。
週に5日で44,000円。
月に176,000円。
7万円の家賃の部屋に住むとしたら4万円で済むわけですから、
残りは13万6,000円。
ここから光熱費と、スマホ代と、食費か。
なんとかやっていけるじゃないですか。
俺は(私は)コールセンターに骨を埋めにTOKYOへ行くのではない!!!
となると、また違う仕事を探すことにはなりますね。
だいたい時給って1,000〜1,200円ですね。
これって実際に面接に行ったりすると「最初は950円で1ヶ月は…」とか言われてしまうパターンもありますけど、敷金・礼金・仲介手数料ナシで賃貸契約して、すぐに最初のバイト先を辞めたりクビになったりしたらどうなるんだろう…部屋も出て行けって言われるのかな。
よくある質問を見てみると、やっぱり
「弊社でご紹介させていただいているお仕事を退職して、違う会社でお仕事をする場合は退職した時点でお引越ししていただく形となります。」と書いてありますねそりゃそうか。
…というか「シェアハウス」って書いてあるな。初期費用があれば一人暮らしの物件も紹介してくれるらしいけど、基本はシェアハウスなんですね。
いや、「それでもなんら問題はない、最初はそれで良い」っていう人もたくさんいますし、有用なサービスだと思いますよ。
とにかく最初に「オラ東京サ行くダ」で猪突猛進な時には、そんなもので良いのではないか…とも思いますよね。嫌なら出て行けばいいし、そのために頑張ればいいし。お金持ちのお嬢様ならいきなりお台場の高層マンションにワンちゃんごと引っ越してこれるけれど、シェアハウスでバイトしながら夢を追う…って田舎にいたら絶対に出来ないことですし、体力も気力も時間もやたらあると感じる若き頃にしか出来なかったりしますからね。
田舎の荒廃の理由は、田舎に魅力がないからです。
東京の人口が増え続けるのは、東京に魅力があるからです。
これって基本ですよね。
まず最初にこれを押さえてくれないと、ここを飛び越してテレビなんかで「地方には魅力あるスポットがたーくさん!!」とか言われても、それを言ってる(作ってる)人ら、お前ら全員東京に住んでるじゃねえか、と言いたくなっちゃう。
いや、東京、楽しいですよ。
「有名人エンカウント」も含めて。