数日前に、語彙力が欲しいぜ、という話を書きました。
補足です。
語彙力あるなぁ、と思う人ほど、「語彙力があったらなぁ」と強く切望していて、無い人ほど、そんなに切実には思ってないんですよね。
これがもう、答えだなと。
考えるには、語彙が要るんですよ。
中秋の名月、というやつなわけですが、ほんと、いつも思うんです、月を見るたびに。
多分毎回思うので、心から思ってるんだなぁと思うんですがw
昔、例えば平安時代とか、月って、強烈な存在だっただろうなぁと。
昼間の太陽だってそれはそれは強烈なんだけど、昼間は他にもいろいろあるじゃないですか。
何より、生物の活動がある。暮らしがある。意識がある。
夜。
もう平安の夜なんて言ったら、もう真っ暗闇ですよ。
遠くでコンビニが光ってる、とかありえないんですよ。
完全なる真っ暗です。
今とは、暗さが違う。
そう想像します。
すると、今でも銀盤のように光る明るい月夜などは、それはそれあ、明るかっただろうと。
「ちょっと、月見でもするか」と言わざるをえないほどに、明るかっただろうと思うんです。
月しかない、ところへ持ってきてあの形状です。
丸い。
丸いものは地上にもたくさんあったでしょうけど、まだ「地球が丸い」なんてことは全然知らない時代です。
なんで月が夜に光ってるのか、というその根拠もわかってない。
ただ月は月で、夜は夜で。
ただ空は空で、世界は世界で。
っていう中での存在感は、もうそりゃ歌にするわさ、するしかないわさ、となるでしょう。
秋風にたなびく雲のたえ間よりもれいづる月のかげのさやけさ
左京太夫顕輔
去年見てし秋の月夜は照らせれど相見し妹はいや年離る
柿本人麻呂
今来むといひしばかりに長月の有明の夜を待ち出づるかな
素性法師
なげけとて月やは物を思はするかこち顔なるわが涙かな
西行
もう、ロマンチックロマンチック。
夜は寝るものだった時代にあって、夜中まで起きてるってことは、それだけ生産活動以外の、余計なことをしてたってことですから、
「文明世界は、夜作られた」
と言っても過言ではないかもしれませんね。