アニサキス。
いつもいったん「兄貴、刺す」をイメージしてから、1文字ひっくり返して思い出してます。
読めば読むほど怖く、ぜんぜん他人事ではなく「明日は我が身」な恐怖と「ちゃんと考えておかないと」がないまぜになって身を引き締めながらも勇気をくれる体験を、「さとなお」(佐藤尚之)さんが公表されていたのを2018年当時、読んで震えました。
そういう人は多いはず。
アニサキスにあたって、一生ほとんどの魚が食べられなくなった話 (update版)
https://note.com/satonao310/n/n16c6fbaef981
先日、こういうニュースが出ていました。
【独自】「アニサキス」急増なぜ?食中毒相次ぐ…クジラ数要因か “殺虫装置”開発も
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000257575.html
最近、やたら多いと。
半身にたくさんいて、食中毒の危険性もアップしてると。
「5月の頭ごろだったと思うんですけど、サバを食べて当たった」
こう話すのは、アニサキスで食中毒を起こした男性。自分で釣ったサバを酢締めにし、少しずつ食べていたこところ、アニサキスがいたことに気付かずに、食中毒になったといいます。
タマさん:「おなかの下というよりかは、胃の辺りがずっと痛くて。嘔吐(おうと)した後も、ずっと継続して痛いといった感じ。本当に動けないって感じですね」
厚生労働省は、生の魚介類を扱う業者に対し、サバ、イワシ、イカなどアニサキスが寄生する魚は、「目視・冷凍・加熱」の処置を推奨しています。
冷凍は、マイナス20度で24時間以上かけないと、アニサキスは完全に死滅しないといいます。
プロが処理してくれてる、とは言え100%安全と言い切れるわけはなく、やはり冷凍が必須かも知れませんね。
自分で釣ってきてテキトーにさばいて食っちまう、とかはやめた方が良さそう。
■クジラが増え…アニサキスも急増
番組の調べでは今年、9日までにアニサキス食中毒の患者は、ほぼ全国で確認されています。アニサキスが増えている原因について、専門家は、次のように話します。
浪平隆男准教授:「アニサキスが寄生虫で、クジラが終宿主なんですね。要は、アニサキスはクジラに行くために、頑張ってるんですけど。クジラが圧倒的に増えている、数が」
まず、クジラの餌(えさ)となる魚がアニサキスの卵を食べ、その魚の体内で、アニサキスは幼虫になります。
そして、その魚を、クジラが餌として捕食。アニサキスはクジラの体内で卵を産み、クジラから排出された卵を、また魚が食べるという連鎖が起きています。
クジラが終宿主(最終地点)なので、アニサキスはそこで生を終える。
繁殖して、次世代の卵はクジラの排出にお任せしてるんですね。
魚たちがアニサキスの卵を食べ、体内で孵化する。
生態系の頂点たるクジラが魚ごと食べるから「終宿主」になりそこで生を終えるわけで、なんでその最終地点たるクジラがものすごく増えてるのに、アニサキスも増えるってことになるんだろう??
クジラがものすごく減ってるんです。終宿主がいなくなり、行き場を失ったアニサキスが魚に留まってるーーー
というのなら、すんなり理解できたんですけれども。
なんで???って、ここに疑問を持つのって変ですかね。
しばらく、ずっと考えてました。
検索しないことを強くオススメしますが、アニサキスはクジラの中で成虫となり、胃に住むのだそうです。
だからクジラを解体しない限り、アニサキスの成虫(でかい)を人間が見ることは絶対にない。
もしサバやイカに成虫がいたら、スーパーの鮮魚係の人でもヒイイヤアアアアみたいな声を上げるんじゃないでしょうか。
ここが、私の知らない重要なポイントでした。
サバやイカにいるアニサキスは、「幼虫」なんです。
「成虫になり、卵を産む」という最終目的を果たすには、クジラが必須。
つまりアニサキスにとって、「クジラはいればいるほど良い」存在だったのです。
アニサキスの成虫は「酸の海」であるクジラの胃の中にいます。
彼らはそもそも酸性に強くその性質は、幼虫段階でも発揮されます。
なのでサバにいる幼虫は、酢でしめても(シメサバ)死なないことがある、っていうことです。
そして食中毒を起こす「魚の身にいる」アニサキスの幼虫は、温度が上がることによって「内臓から身に移動する習性がある」んだそうです。
卵を魚が食べて、内臓で孵化した幼虫は、温度差を感じて内臓から身に移動する。
終宿主であるクジラは哺乳類ですから、魚やイカよりも圧倒的に体温が高いです。幼虫だったアニサキスちゃんたちは、その温度差を感じて成長のタイミングを計ってるんですね(そして酸の海へ)。
クジラの体内に入り、成虫への成長に成功してこそ繁殖して卵を産むことができるんですから、「クジラから排出された卵を、また魚が食べるという連鎖」というのはごく普通のことであって、それが目的です。
疑問は解けた
最初に私が「クジラが減れば魚にずっといれるはずなのに」と思っていたのは、魚にいるアニサキスが最終形態だと思っていたからこその、誤解でした。
お前の理解力が低いだけだと言われてしまえばそれまでですけれど、なんでクジラが増えたら魚にアニサキスが増えるんだろう…という疑問は、まったくもってそのまんま、「繁殖地が多い方が良いに決まってるから」であり、成長できる場所が増えて卵の数が膨大になったから、なんですね。
厳密には、魚やイカを食べないクジラもいるので一概には言えないし、どうも概ね、太平洋側と日本海側ではアニサキスの種類が違う(なので日本海側では生でサバを食べる習慣があった)など、まだまだ研究は進んでいきそうな雰囲気を有しています。
あまり想像はしたくないところですが、街の居酒屋でお刺身盛りを注文して、卓にやってきた舟盛りをよ〜く見ると…ウネウネ、ウネウネなんてヒイイヤアアアア!!!!