ウナギに関する記事がハフポストに出てました。
このままでは絶滅? 「うなぎ」の危機に私たち日本人ができること
http://www.huffingtonpost.jp/2018/01/18/unagi-kiki_a_23336580/
まだ日本人の多くは本気で「え?絶滅?ガチ絶滅なの?養殖モノを食べとけばOK?」と言っている状態なので、このまま、ほぼ間違いなくニホンウナギは絶滅します。
ウナギが絶滅すると、上掲の弊記事にも書きましたように自動的に鰻屋さんも絶滅します。
当たり前ですよね。
ウナギが絶滅さえしなければ、鰻屋さんにも将来、復活の希望はある。
それまでは蒲焼きのノウハウを活かして、サンマかアナゴかドジョウかかまぼことかでしのいでもらって。
どちらにしてもウナギが絶滅したら「鰻屋は永遠に終わり」です。
ウナギが永遠に終わりなんだから当たり前ですよね。
なので、「鰻食べるな!?じゃあ鰻屋さんはどうしたらいいの!?」「鰻屋さんかわいそう!」じゃないんです。
鰻屋さんはそのほとんどが人間でしょうから、ほかの人間らと結託して「ウナギを焼く以外の策」を講じていただきたい。
この話をすると「今、出回ってる分はいいでしょう。食べてOK!」と即答する方々がおられます。確かにおっしゃる通り、売ってるんだし、もう捕らえられてさばかれてるんだからもういいでしょう。
食べてOK。これはわかります。
わかるんだけど、違うんです。
食べていいのは「全面禁止」になった後なら、ですよ。
捕獲も何もかも禁止になってないのに「今日はOKでしょう、出回って蒲焼きになってる分は」と言って買うと、その分、売れた分「はい、次の入荷は〜」ということになりますよね。当たり前です。
禁止されてないんだから。
お店としては次の仕入れ、次の次の仕入れ、常に「安定供給」を考えるのが当たり前だからです。
入り口(入荷)をまず法律や規制で止めないと、出口(売り場)で良心的で理知的な人らがいくら「食べないことが、絶滅からウナギを救うのです!」と言っても、無駄なんですよね。
あと「中国産だからOK」、これは 違うんですってね。
中国産も、日本産も、同じ稚魚を捕まえて(あるいは盗んで)育ててるから元は同じ。日本でビタッッとウナギを完全にやめても、中国が(あるいは窃盗団)がやめない限り絶滅します。日中の協力が必要ですね。あと警察。
養殖も同じです。
ウナギに卵を産ませて孵化させ、育てて太らせて食う。
これ↑が完全養殖なんです。
ニワトリとかでやってるやつ。
まだ、この技術は確立してない。
少なくとも、市場に出回るレベルではない。
今は
ただ稚魚を捕まえて来て、それを太らせて食う。
をやってるだけです。これを養殖と呼んでるだけ。
自然の、稚魚がいなくなったら終わりです。
捕まえるべき稚魚ゼロになったらそこで絶滅です。
「高級店だけにして、スーパーやコンビニ、牛丼屋での取り扱いはやめるべき」という意見もあります。
これは、難しいですよね。
「高級店」ってどこからが「高級」なんですかね。
例えば自主的に、すき家(ゼンショーホールディングス)が、「ウナギ、やめます!」キャンペーンを大々的にやって賛辞を浴びる、というのは、素晴らしいと思うんです。
ウナギを扱ってる牛丼チェーンが連帯する、とか。
そういうキャンペーンがあれば「絶滅マジなの?養殖はいいんでしょ?」っていう人らにも、危機感は届くかも知れない。
私がなんとなく変だなと思うのは「高い店はOK」というやつ。
高い店は、一番下のメニューでも2,500円とかしますから、繁く通う人は限られます。良いお店なら、6,000円以上しますよね。これはつまり、「需要が少ない=供給量も少なくて済むから個体が減らなくて良い」というイメージからくるアイデアだと思うんです。
食べたい人は、高いお金を払いなさいと。
そういう案ですよね。
これって優しい折衷案だと思います。
ただ、ですよ。
高級店は良くて低級店はダメ、って、誰が決めるんですか。
どうやって、その基準を決めるのか。
高級店の低価格メニューはいいのか。
低級店のずば抜けて高いメニューとしてならどうなのか。
高級ウナギ店さんだって、自分で稚魚を捕獲して育ててるわけではないから問屋から仕入れるんですよね。その問屋はどうやって選定するんですか。
値段を、誰が釣り上げるのか。
それには「供給量をまず減らす」しかないですよね。
「超超超・稀少な魚」にするしかない。
我々庶民は高級店の鰻に手が届かないからスーパーや牛丼店で鰻が人気を博してるわけで、世の中に鰻は高級店でしか食べられないとなれば、フカヒレとか上海蟹とか北京ダックみたいになって、良い流れという感じはします。
ただし、そんななまやさしい状況なら、ね。
やはり管轄は農林水産省ですよね。
早く止めないと、少なくとも入り口(入荷量など)をギュ〜っと絞らないと、「なぜ止めなかったんだ」と、鰻屋さんにあとで集団訴訟起こされたりしますよ。
あと問題はやはり「ウナギは夏の風物詩」とか「貴重なスタミナ源」とか「伝統的な和の文化」とかいつまでも言っているジジババどもをどうやって教育するか、じゃないですか?
どんな言い分も、「絶滅するから!」で終わりな話だと思うんですけど、違うんですかね…。
アフリカ象やゴリラが密猟で絶滅する危機にある時に「象牙のハンコは伝統的な職人による芸術だから」とか「ゴリラの毛皮は冬の風物詩」とか言わないでしょう?
「そんなこと構わんし知らん。え〜ところで日本の伝統や文化というものは〜」って言ってるんですよ、そういうジジ様ババ様たちは。
残念ですが、ウナギを食べるのは、もうやめましょう。
うな次郎が、あなたを待っています。