たまたま読んでいた『戦国武将の明暗』という面白い本に、井伊直虎の項があり、この小説が素晴らしいと書いてあったんです。
で、へえ、ぜひ読んでみたいと注文して、読み始めた頃、このニュースが。
柴咲コウさん主演!平成29年 大河ドラマ「おんな城主 直虎」
https://www.nhk.or.jp/dramatopics-blog/2000/225827.html
なんと(自分にだけ)タイムリーな…。
愛を貫いて自ら運命を切り開き、戦国を生き抜いた女の激動の生涯を描く。
いかにも女性層へ向けてアッピールしやすい題材です。
『真田丸』は三谷幸喜氏の脚本だったそうですが、今回は森下佳子氏。
『世界の中心で、愛をさけぶ』の方です。
おんな城主・直虎がのちに養育する「虎松」は、長じて徳川四天王となる井伊直政(菅田将暉)。
その養母であり、女性でありながら「次郎法師」という名の下、一城の主となって戦国を生き抜いていく。
勇ましい女性が愛と知恵で活躍するドラマとして、楽しみではあるのですが、この時期を見計らっって放たれた(ほんとはもっと前にわかってたんでしょうにw)、これまた驚愕のニュースが炸裂しました。
フツーにおっさんだった!?
柴崎コウさんが演じるこの「井伊直虎」、「実はフツーに男だったんじゃねえか」説。
「井伊直虎」女性でなかった? 井伊美術館が新史料
https://www.nikkei.com/article/DGXLZO10673470U6A211C1CR8000/
実は歴史上、資料などにはほぼ出て来ない「井伊次郎法師直虎」、実は「次郎」がかぶっている人が同時期に二人いて、その混同から「城主は女性だったのだ!」ということになった、というのです。
この説、資料としては信頼性が高いものであるので、多分NHKとしては「オイオイ…」な話だと思います。
3年前にこの資料が出て来てたら、来年の大河の題材は変わっていたでしょう。
フィクションとして観るコツ
どっちが面白いかというと、そりゃあ「おんな城主」ですよね。
「おっさん城主 直虎」だとただの地方武将の没落日記みたいになってしまいますから。
こういうのをネタバレとは言わないとは思うんですが、とにかく、名家である井伊氏は、一度、斜陽の今川氏の手によって没落したようです。
天下に手が届きそうだった今川義元(春風亭昇太)は桶狭間で一発逆転を狙った織田信長(誰なんだろう)に見事に討たれてしまった上に息子の氏真(うじざね・尾上松也)はどうしようもないバカで、そこの人質だった徳川家康(阿部サダヲ)が織田軍団と連盟し勢力を増す中、井伊家はどさくさで、その氏真(尾上松也)に潰されてしまうわけです。
でも、実は直親(なおちか・三浦春馬)が家康(阿部サダヲ)と通じようとしていたのに氏真(尾上松也)の命により、暗殺されるという事件も起きており…。
それを思い出してか、家康(阿部サダヲ)は、その落胤である虎松(のちの井伊直政・菅田将暉)を、小姓に加えることにするのです。
そして徳川四天王へ。
その井伊家が、なんと幕末には大老まで登りつめる井伊直弼(伊武雅刀)を生み、桜田門で殺されてしまうのです(桜田門外の変)。あれ?変な言い方にwww
宗家・井伊掃部頭(かもんのかみ)家は現在、18代目だそうで、当主・井伊直岳(井伊岳夫)さんは彦根市教育委員会事務局市史編纂室に勤務されているそうです。
どちらにしてもその激しい戦国の興亡の只中に立っていたのが、おなごだったいう方が、物語として面白いではないですか。
井伊家といえば「赤備え」ですが…
大河ドラマ『おんな城主 直虎』では、主人公の名前は「おとわ」とされています。
この『剣と紅』では「香(かぐ)」とされています。
これは、古事記に出てくる、永遠の命をもたらす霊薬「非時香菓(ときじくのかぐのこのみ)」にあやかってつけたとされ、井伊家ゆかりの「橘」の木と関係すると設定されてるんですね。
この説得力はすごい。
なんせ、井伊家の家紋は「丸に橘」!!
このあたり、大河ドラマではどのように扱われるのか、楽しみです。
色々、文句を言われる宿命にある大河。
1年間、できるだけ脱落せず、観て行こうと思います。
※注
井伊直弼が伊武雅刀さんだったのは映画「桜田門外の変」ですので悪しからず。