2022年7月、安倍晋三・元総理大臣が銃で撃たれた。
奈良市内で演説中に後ろから撃たれ、その後亡くなってしまった。
卑怯で自分勝手な犯人はすぐに逮捕されたがその後、「宗教団体に恨みがあり、安倍元総理が近しい関係にあると思って狙った。もともとはこの宗教団体の幹部を殺害しようとしたが、できなかったので元総理を銃で撃つことにした」と供述した。
これをきっかけに「統一教会(世界平和統一家庭連合)と国会議員」、この2つを糾弾する方向がワイドショウを中心に形成されていった。
旧統一教会はと言えばずいぶん前に、有名芸能人も入信し参加した「合同結婚式」が大きな話題となり、耳が聴こえないと嘘をついていた「佐村河内(サムラゴウチ)」氏が登場するまでは「こんな苗字があるのか!」と驚いた苗字No.1として「勅使河原(テシガワラ)」氏が記憶の中に君臨していた。
この流れで今現在、安倍氏を銃撃して殺害した容疑者の「減刑を求める」という意見に賛同する人が多くいる、という状態だそうだ。現金100万円を超える寄付やファンレターまで集まっているとか。
山上容疑者宛てに計100万円 ネットで英雄視、憤りも
https://kumanichi.com/articles/909774
減刑を求める署名を始めた人は
「これは、山上容疑者の非常に辛かった生育環境、境遇に対しての情状酌量、また、非常に真面目で努力家な人柄であり更生の余地が大きいことを訴える署名です。」
と言い切っている。
山上容疑者、やったね。
卑劣に自作の銃で有名人をかっこよく殺したあと、宗教団体の名前を出したおかげで減刑を求める署名を集める人まで現れてくれて、思う壺だね。
世間が、恨みを暴力で晴らすテロリストの思うように動いている。
個人的に家庭的な事情で宗教団体に憎しみがあるから「そこと近しい」という理由で元総理を殺してもいい、なんていう理屈が通ると思ってるって、すごいね。
そして本人の弁のまま、統一教会と親しくしてた安倍氏が悪いんだから殺されても仕方がない、と短絡する人のなんと多いこと…。
署名を始めた人は
いかなる理由でも殺人を肯定するものではありません。
とおっしゃっているようですが。
山上徹也容疑者の減刑を求める署名を立ち上げました。
これは、山上容疑者の非常に辛かった生育環境、境遇に対しての情状酌量、また、非常に真面目で努力家な人柄であり更生の余地が大きい事を訴える署名です。
いかなる理由でも殺人を肯定するものではありません。https://t.co/9qrHYDqiWq
— kei@bluepoint (@KBluepoint) July 15, 2022
境遇と生育環境が非常に辛かったら自作の銃で後ろから政治家を撃っても仕方ないの?
非常に真面目で努力家な人柄の人は最初から銃を自作して誰かを殺そう、なんて考えたとしても実行はしないんじゃないの?
なんでこの容疑者のやったことに、情状酌量があるなんて思えるんだろう。
殺人を肯定するものではないならこの場合、フツーは減刑を求めたりはしないんだよ。
しっかりと罪を償って出所した後に、あなたが更生できるように支えてあげればいいだろう。
もしかして「無罪」だとでも思ってるの?
…思ってるっぽい。
これは、なんらかの矜持なのか。
こんなのに賛同してるっぽい時点で、ああ、そう…と無視するのが正しいのだろうけれど。
もし山上氏の襲撃が失敗していて、殺人未遂テロ犯として逮捕されていたとしたら、今頃、全国民に番号がふられて義務で携行義務のカードを持たされ、街には監視カメラだらけになり、ちょっとでも政権にあやしいと思われたら逮捕される日本になっていたのではないだろうか。紙一重で現状があると思える。
— エリック C. (@x__ok) November 12, 2022
と、ここから宗教の話、新宗教にまつわる家族の話、または新宗教の教義や布教活動の話になってゆく。
献金だの、家族離散だの。
それプラス、統一教会と国会議員の癒着の話になってゆくのだ。
パーティに参加だの、政治献金だの。
ぜんぶ、ワイドショウが視聴率稼ぎにするネタでしかない。
特定の宗教を信奉する人は、多額の献金をするのだと。
来世が約束されたり、教団からの信頼を得るために。
それで子供が卒業アルバムを買ってもらえなかったり、みじめで辛い思いをするのだと。
いわゆるマインドコントロールによる高額献金なので、献金の『取消権』を含めた新しい法律を作るよう、さらに呼びかけたりも。
野党は与党・自民党を攻撃するためならなりふり構わないので、多少のブーメランを頭部に受けつつも、法整備のついでに自民党にダメージを与えたいという怨念のみを原動力に奮闘している。同じく与党に名を連ねる公明党の支持母体である創価学会については事実上ダンマリを決め込んだ、まま。
過去にした献金によるメリット、は献金した本人にしかわからない。
費用対効果を明示した宗教団体などない。
一般に広く認知されている既存の寺院で、法事の際にどれくらいお布施をすれば先祖の成仏が良質にアップデートされるかがハッキリわかった例などない。地獄の八丁目から子孫のお布施の多寡で極楽2丁目に引っ越しできた、とかが定量的にわかろうはずもない。
基本的に、国の要人(元総理大臣)を射殺するのにその動機がどうであるかなどはまったく意味がない。ジャンボジェットに爆弾を仕掛ける上で「パイロットが憎い」であろうと「C-13に座ってる客が許せない」であろうと「創業者のホクロが気に入らない」であろうといっさい関係ないのと同じである。
もともと偏った思想を持ったジャーナリスト達は「統一教会は悪い。反社会的な団体だ。そんなのと付き合った自民党の政治家が悪い」という論理構成で、延々といつもの政権批判を嬉々としてやっている。それがメシの種だ。
政治的・思想的に敵対すると、暴力で解決することに対しては何にも感じなくなるのだろうか。
憎い相手は銃で殺しても構わない…とまでは口にしなくても、死んでくれたらいいのになぁ、とでも思っていたのだろうか。
思っていたフシはある。「アベシネ」という語句を検索すればいくらでもそういう考えの人が出てくる。消してしまった人も、おそらく魚拓はとられてる。
こういう記事もあった。
「何が問題か分からない」自民党議員に教えよう、統一教会と関係する意味を
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/71178
サルにもわかるように
と書いてあるので、書いてあることはサル程度の知能の私でもわかった。
犯人の動機醸成の一つとして、母親の統一教会へののめり込みがあったことは事実なのだろう。
では、母親が1億円近い献金をして家庭が崩壊した人は、みな親しかった政治家を殺そうとするのだろうか。
あり得ない。そんなもの、関係ないのである。
個人や家庭の不幸には同情するが「殺さねばならないと思った」という妄想にまでは感情移入できない。
ところが、多くの政権批判をしたい連中の中には、そこに感情移入できる異常者がいるのだ。
「時代に敏感、感情任せでない犯行」 安倍氏銃撃、容疑者の投稿分析
https://www.asahi.com/articles/ASR177WBJR17PTIL00Y.html
世間の人々は基本的に、漠然と「宗教は怖いもの」と思っている。
同時に、身近なお寺や神社は宗教ではない、くらいの感覚でいることも確かだ。
初詣やクリスマスなどを宗教行為だとは思っていない。
それらは文化財であり習慣でありイベントでありアトラクション。
「ご利益」が宗教的なものという感覚がない。
そういう人らにとって、宗教とはおおむね新宗教・新興宗教のことを指すのであって、「怖い宗教」といえばオウム真理教だった。
地下鉄サリン事件(1995年)の記憶が薄れた今、新たな「怖い宗教」として統一教会がターゲットになっている。
ありもしない教祖の神聖性を盲信している人を見下し、先祖は供養しないと祟りがあると信じている。
二律背反にも見えるが、多くの人の「宗教観」の実態なんて、そんなものなのだ。
宗教はおそらく、人間が善く生きるためにある。
宗教なんていらない、が本当に正しいのなら、人類史上何千年も宗教がなくなっていないことの説明がつかない。
バカが多いから宗教がなくならない、と断言する人は、たいていそんなに賢くないと断言できる気がする。
実存とは別に、やっぱり「神はいる」のだ。
無宗教こそ真理、などと大見得を切るのはただのバカなのである。
宗教団体が持つ「反社会性」や「行き過ぎたやり方」、またはそれを持ち上げるメディアについて批判するというのはとてもよくわかるし社会的な実益にも適うが、宗教そのものを異常だと言ったり宗教を信じる心を批判するというのは、あまりにも考えが浅い、ガキの発想だ。
松本死刑囚、“胡散臭いが憎めないキャラ”でテレビ出演 そのメディア戦略
https://news.yahoo.co.jp/articles/4fda855cced9d750ae2f8592027b59b685c1276a
テレビは間違いなく、今後も同じことを繰り返す。
どんな極悪人であってもいいし、たくさん人が死んでくれた方がいい。
事件としては、できれば有名人が殺されてくれるのが良いだ、視聴率が取れるから。
「報道」がみんなスーツを着てネクタイを締めているのは、「センセーショナルなことを選んで視聴率を稼いでいること」がすぐにはバレないように、真面目なふりをしているからである。
実は安易に暴力を肯定していることに気づいていない人たち
安倍首相を殺害した山上容疑者はただのテロリストであり、暴力で自身の主張を通そうとするのはただのテロリズムである。
個人的な動機がある可哀想な2世被害者なら何やってもいい、なんていうのは絶対に通らない。
それを擁護する連中は「主張のためなら暴力に訴えてもいい、なぜなら私(ら)が思うものだけが正義なのだから」と言っているのと同じだ。
これが通ると思い込んでいるのは、やはり異常者だ。
「そんな単純な話じゃないんだよ」と言うのなら、どれくらい不幸で複雑な家庭環境ならどこまでの犯罪を犯しても減刑されるべきで情状酌量されるべきなのか、その法整備こそを訴えるべきなのではないか。
宗教2世のみを救うことがど真ん中の正義だとでも言うのか。
パチンコ2世は?
FX2世は?
ポンジ・スキーム2世は救わないのか??
バビル2世の髪は波打つ(超能力を使う時)。
「暴力は許されることではないが」と前置きしながら「だけどこの暴力は許される」とでも言いたげな、偏向ジャーナリストや偏ったタレントたち。
安倍さんには生きていただかなければなりません。安倍さんがやった、始めたことの、結果も検証もまだ見えていないからです。これで全てが闇に葬られチャラになっては民主主義が終わります。
凶弾は民主主義に対する暴挙です。— ラサール石井 (@bwkZhVxTlWNLSxd) July 8, 2022
ここまで認知が歪んだら、もう逆に生きるの楽なんだろうな、とさえ思えてくる。
おそらくこういうタイプの人らのせいで、戦争って起こるのだとすら感じる。
なにせ認知が歪んでるので、その場その場の正確な判断が「自分のポジション」によってしか出来なく、100%間違った選択をするからだ。
暴力を拒絶するふりをして、憎き相手に対する暴力だけは陰ながら賛美する。
それはいじめっ子の論理だ。
被害者に原因などあろうはずがない。
勝手な関連付けと動機付けは加害者が内的に創造するもので、被害者はその動機を膨らませる遠景の一つになっただけであり、因果関係はない。
勝手に相関関係を因果関係に取り違えて犯行に及ぶ、加害者だけが100%悪い。
安倍晋三氏の殺害に関して、統一教会との関係性に話がすぐに及んでしまうのは、テロリスト山上徹也容疑者の思う壺であり、そこに同情して差し入れや減刑署名をしている連中は、この社会における暴力を容認することになっていることに気づかなければならない。
そしてその論理に正当性があると思い込んだ連中が、同じようなテロを敢行する。
うん、そもそもワイドショウの見過ぎである可能性もある。