なんとなく2文字から浮かぶこと

言葉

言葉は難しい。言葉は単なるツールだ。ネジ山の壊れたややこしいネジを回せるドライバーを持っているかどうかが、作業の効率向上とこれからできることのアイデアを生むことを促す。それに似ている。すべては、言葉から生まれた。今からでは考えにくいけれど、太古の昔、文字がなかった時代というのが確かにあった。日本では、文化は高まっているわりに長く、文字がなかった。だから口から発する言葉で何かを伝え、口から出る言葉で何かを為すという感覚が、妙に鋭くなりすぎてしまっていた。そこで「言霊(ことだま)」という考え方ができてしまったのだ。「できてしまった」という言い方をするのは、その弊害が、今となってはなかなかに大きいと言わざるを得ないからだ。文字を得てからは、その威力が1.5倍くらいになった。文字を頭の中で読む。頭の中で鳴らす。それだけで、発音しなくても「言霊」が発動してしまうからだ。口にした言葉は、本当になる。これを、「そんなばかな」と言いながらも、神の姿など浮かべず、宗教っぽくなく信じている。呪いの言葉、寿(ことほ)ぎの言葉、どちらも口から発して願う。求める結果が真逆のように見えるけれど、やっていることは同じだ。試しに「ことほぎ」と打って、変換してみて欲しい。同じなのだ。言葉でなんとかする。言葉でなんとかなった。文字がない時代から、現在で言う日本地域では、話すことがよほど大事だったのだなと推察される。それは聖徳太子が作ったと言われる「十七条憲法」を見ればわかる。どんな条文でも、一番最初に一番大切なことを書くのが当たり前だ。その第一条が、その憲法を支える根幹を為す部分を表す。日本国憲法の第一条は「天皇」だ。どんな法律ができようが、日本が日本たる所以(ゆえん)はまず、「天皇がいる」ということなのだ。天皇がいなくなったら日本ではない。その宣言が「日本国憲法第一条」なのだ。604年に制定されたとされる「十七条憲法」の第一条は、有名な「和(やわらぎ)を以(もっ)て貴(とおと)しと為(な)し」というやつである。そのあと「忤(さから)うこと無(な)きを宗(むね)とせよ。」と続く。要するに「仲良くしろ。争うな。話し合え。」という意味だ。その次の第二条に「篤(あつ)く三宝(さんぼう)を敬(うやま)え。」が出てくる。当時輸入され、聖徳太子が日本の国教に制定しようとするほどの熱の入れようだった仏教について、書かれている。そしてやっと第三条に「詔(みことのり)を承(う)けては必(かなら)ず謹(つつし)め。」と、天皇の命令を絶対に聞け、と出てくる。天皇よりも、仏教よりも、まず上位に位置する、と聖徳太子がすえた、つまり常識として通用すると考えることが当たり前だったと言える大前提の価値観が、「話し合え」なのである。仏教よりも、帝よりも重要なのが「ケンカすな」なのである。これって憲法としては、異常な事態のように思える。とにかく話し合わず、喧嘩して言い合いをするような、言葉で場を乱す行為は、親睦を壊し、道理を壊し、未来を壊し協調を破滅させる、「悪の中の悪」だと言う認識だったのだろう。それだけ、言葉によって乱されるということを恐れていたと言えるし、実際に実感として持っていた、言葉のパワーを信じていたということだと思う。自分の可能性を否定するような言葉を吐きながら、自分の未来は絶対に高まっていかない。誰かのやっていることを中傷しながら、自分の人生は良くなっていかない。他人を呪いながら、自分は祝えない。脳は、主語を理解できないのだ。誰かに向かって投げる罵詈雑言は、同時に脳内で、自分に向けての言葉だと処理される。人を呪わば穴二つ、は、科学的に実証されつつあるのだ。「言霊」の功罪が、全地球規模で明らかにされようとしている。そんなにかんたんではないけれどおろそかにしてはいけないと思うことは、人生を楽しく、明るく、上に向けて行くのに必要なのは「言い換え」だということだ。どんな言葉でも「言い換え」は出来る。呪いの言葉を、寿(ことほ)ぎの言葉に。否定の言葉を、肯定の言葉に。「言い換え」は唯一、文字を知り言葉を操る人間にこそ出来る、人生のハンドリングをみずから可能にする、かけがえのない技術だ。

 

 

 

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