若干雑感羅列集

新興宗教とニコ生とファッションRIPと心霊写真とあじさいの恋

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新興宗教

新宗教が最初から社会に好意的に受け入れられることなど絶対にない。今、家にある仏壇や神棚を捨てろ、などということを強要する「新しい神様」に馴染むには、人一人の人生では時間がぜんぜん足りないからだ。だから新宗教は、たいてい既存の宗教の形を借りる。この世になかった新しい神様など、教祖にも思い付かないからだ。たいていはキリスト教系・仏教系・神道系になる。イスラム教系がなぜないかというと、イスラム教は新しい「系」など絶対に認めない、ただそれだけである。鷹揚な既存宗教の懐の深さを利用して教義を足し、または引き、さらにミックスしてそれらしく新しく見せている。どれもこれも、現世利益を追うものばかりだ。来世での安寧を祈るなら既存の宗教で足りる。現世の利益とは「コミュニティでの関係性の改善」を大いに含む。つまり現実の人間関係の希薄さ・冷たさ・苦しさが、新宗教の栄養なのだ。それを法律で救済することなど、できるはずがない。

 

ニコ生

以前、ニコ生の番組をしばらくやっていた。1年を経過しないうちに辞めることになった。それ以来、「なんだこれ。この風土。この集まってる人たち。囲われて調子に乗ってる人ら。匿名性にアグラをかいてる暗愚な取り巻きたち。」という偏見を持ってしまい「どんな配信者がいるのかな」などの興味も湧かず、1秒たりとも見なくなった。配信用に無料アカウントを維持しているだけである。だからと言ってニコ生すべてが嫌いとか反吐が出るとかそういうことはなく、一部を見ると反吐が出る、というだけなので、なんらかの機会があれば出演などもするつもりではいる。なくなって欲しくはないし、今からやろうと思うんですという人がいたら「いいと思います」と言うと思う。

 

ファッションRIP

著名人が亡くなると雨後の筍のごとくご冥福を祈りたい人たちが湧いてくる。それ自体に害はないし弔意を表して何が悪いと言われたら何も悪くないとしか返しようがない。ただ今までいっさい言及してなかったはずの人物に対して祈る冥福は、ずいぶん薄っぺらく、やたら安っぽい。あっちの人には祈る冥福があるがこっちの人にはないのか…など、気になり出したらきりがない。ファッションRIPはどうしても「冥福を祈る」のではなく「冥福を祈る自分を良く見せたい」という思いから発せられている気がする。後半の「自分をよく見せたい」というタンデムシートを完全に「弔意を表して何が悪い」で覆い隠すことができるから便利で使いやすい、というだけだ。指摘する人間を「人が亡くなって、お前は何にも思わないのかこの冷血漢」と罵ることさえ出来る。この万能性ゆえ、ファッションRIPは今後も絶対に無くならない。

 

心霊写真

心霊写真はもはや、違うステージに移った。こんなものが写っていた!という驚きはすでに過去のものになっており、「こういう写真を作ることができました!怖い!」という段階にある。デジタル技術の発達で、フィルム時代によくあったような「そんなもの」は、易々と写らなくなったのだ。エンターテインメントの要素としてはデジタル技術を駆使することで巧妙に、より恐怖心を煽る出来のものを作れるようになった。「違うステージ」とはそういうことである。そもそもそこに写った「そんなもの」が、「心霊なるもの」だというのは誰がどうやって判定するのか。嘘つくことが仕事であるペテン師たちがしのぎを削っていた時代であっても、写真の専門家は「そんなもの」を一笑に付していたはずである。「心霊なるもの」の定義が異常なほど曖昧なまま、それが写真に写り込む意味を、まっとうな論理で語れる人間などいるはずもない。「お祓い」と称してそれらの商売に便乗していた神社仏閣も同罪である。その意味では「違うステージ」に進んだ昨今は、やっとまともになってきたと言える。

 

あじさいの恋

第29作。この回で寅さんは、初の「ことを成就する」機会に恵まれる。女性の方から寅さんに身を任せようとするのだが、寅さんは及び腰で逃げてしまう。どこまで行っても恋愛ベタな寅次郎、というわけだが、「男はつらいよ」は別の見方をすると、やたら面白い側面が出てくる。風来坊・テキ屋・独身・喋りが上手い・情に厚い・親切、この条件が揃っていて、女性が苦手、もしくは童貞という設定はかなり気持ちが悪い。イケメンでないから、などは論外の条件である。「そんなわけがない」のだ。もし、シリーズに登場する女性全員に寅さんが手を出していて(それは妹も含めて、だ)、それぞれに淡い恋慕の情がお互い残っている状態だとしたら。親族(おいちゃんやひろし達)の寅さんへの呆れっぷりはどこか、そういうニュアンスが含まれたものとして見えてくる。そもそもフィクションなので想像で楽しめるだけだが、そういう含みさえ持たせる異端な存在だ。極楽寺の紫陽花とかがりさんのやわらかな言葉は、今も記憶に鮮明にある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







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