なんとなく2文字から浮かぶこと

自然

吉田拓郎の唄の中に、こんな歌詞がある。「誰かが言ってたぜ 俺は人間として自然に生きてるんだと 自然に生きてるってわかるなんて なんて不自然なんだろう」。自然派、という言葉が、善なる行いをする人、という意味を含んで使われるようになって、どれくらい経つのだろうか。善いことをしたい、と考えることは良いことなので、あたら間違った行ないも、自然派の範疇に含まれさえすれば不問にされているところがあるような気もする。自然を愛し、自然と調和し、自然を大切にする。これがあたり前のような善業のごとく言われているけれど、自然というのは、全て「人間とは別」に存在するものなのだろうか。地球に優しく、というとき人間は、地球とは別に考えるべき、単なる店子(たなこ)なのだろうか。実際、そういう考え方をヒューマニズム(人間主義)と呼ぶのかも知れない。でも、人間を動物、生物と考えれば、人間も「自然の一部」だとわかる。自然を大切に、という「自然」には、人間も含まれるはずだ。そうなると、「自然破壊」は、人間じたいをも破壊する行為だということになる。いつしか人間は、「自然と、人間」を分けることにして、それを主流にすることにした。そうすれば、人間だけの好きに環境を変えられるし、「自然を克服する」という言い方で、人間に合う改造を、自然側に強いてきた。それが完全に成功して、虫ひとついない快適な生活、汗ひとつ、震えひとつ起こらない快温な密室、自分の排泄物の匂いすらしない心地よい水との距離感を得ることができた。もちろん、どこかにしわ寄せがくる。これはもう、宿命として背負わざるを得ないことだ。人間も、自然の一部なのだから、ある場所を快適に偏ったことをしたら、ある場所は悪くなる。皮膚の一部を綺麗にしたいからと、何処かから皮膚を剥がして持ってきたら、はがされたところはどうなるか。見えないところだから大丈夫、というのは「見えるか見えないか」という基準で考えているだけで、カラダ全体という意味では特殊なしわ寄せだと言える。人間は自然の一部であるがゆえに、自然の全体像を見る機会がない。その上、人間にだけ特有の文化のせいで、アメリカの快適さのせいでブラジルが悪くなっても、そこは「ブラジルのせい」と無視しても良いことになっている。決して「人類」としての責任を平等に取らなければならないということにはなっていない。でも、ライオンに食われたシマウマが、首根っこに噛み付かれた仲間をしばらく見つめてまた平然と草をはみ出すように、やはり人間も、犠牲はかくあるべしと、無視して全体の利益を優先させているということなのだろうか。シマウマが、今日食われた一頭のために団結して、ライオン軍団に反撃を開始する、というのは、全体の利益を損なう行為なのだ。犠牲を最小限にする努力はしたいが、それ以上の消耗をするよりもこの均衡を維持した方が良いという判断。知能と文化をもった人間の場合、これが崩れるのは、人間を完全なる「自然の一部」としか見なさない存在が現れた時だ。それは宇宙空間から、別の星系からやってきた知的存在なのだろう。彼らからすれば、人間が森に入って数十種の木々が並存していることに違和感がないのと同じように、海と、山と、木々と、ライオンと、シマウマと、人間が共存していることに、なんらの区別を感じないのだろう。だからこそ、木の実を取るように人間も獲る。魚を飼うように人間を飼う。そこまで想像してみると、自然に対して人間のやっていることは、とりあえずはこれも自然な流れなのかな…と思わざるを得ない。それは「自然派」とか「自然に生きよう」が正しいとか正しくないということではなくて、自然と人間は実は同じ意味なのだから、よくよく考えてもよくわからないんじゃないなぁ、というていどの意味である。

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