見たもの、思うこと。

映画に見る、昔のタバコの常識と「おっさんづくり」の理由

投稿日:2018年6月7日 更新日:

ここのところ、連続して昔の映画をAmazonプライムで観てるんですが、さすが昔。

見た映画は、こちらです。

ファルコン
ファルコン (字幕版)

砂の器
砂の器 デジタルリマスター版

やくざ戦争 日本の首領
やくざ戦争 日本の首領

 

もう、すごいんです。

 

みんな、おっさん、ずーっとタバコ吸ってる。

おっさんと言っても、実はあんまりおっさんじゃないんですよね。

昔の俳優さんや歌手の、「おっさんづくり」。

現代は自分も含めてけっこう「若作り」が当たり前というか、そういう風潮ありますよね。

昔は違った。
おっさんの貫禄を出すのがかっこいい、ということだったんでしょうか。

例えば。
私たちが持っている「石原裕次郎」のイメージはこれ。

この曲って1977年の発売なんだそうです。
石原さんは1934年生まれなので、なんとこの時43歳!43歳!?驚愕の43歳。まじか。

いや、私、いまだにブランデーなんかほとんど飲んだことないけど!??!

歌詞の世界観も、今の日本の43歳にそんな生活ある!?っていうくらいムーディ。
うん、そういう時代、だったとしか推測できないけれど。

 

おそらく、あの頃は「若い人の方が多かった」んですよ。

つまり「こんな若造が貫禄つけたフリしやがって!」という世代の方が少なかった。

そう、「かっこいい大人」に憧れる若者の方が、多かったはずなんです。

 

たとえば65歳以上の高齢者人口、という視点で見てもみると…

内閣府のPDF「高齢化の状況」より抜粋
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2009/zenbun/pdf/1s1s_1.pdf

いわゆる「団塊の世代」というのは昭和1947~1949年に生まれた人らのことを言うわけですが、確かに「ブランデーグラス」の1977年ごろ、65歳以上の人は880万人くらいしかいなかった。それが2035年には、3人に1人が高齢者となる。

そういう時代ですので、今、40代以上の人が若作り(20〜30代に見えるような格好)をし、40年ほど前の40代が「おっさん作り(老けた貫禄を出す)」を目指すのは、当然の流れなのかも知れません。

 

つまり「かっこいい」とか「憧れ」は、常に「多数派が、少数派である方を目指す」ということなのかも。

考えてみれば当たり前なんですけど、これは健康にも言えるのではないかと推察されます。

60年代〜70年代、まだ科学的にタバコの害はエビデンスが揃っていなかった。
とはいえ「タバコの吸いすぎで肺がんに」くらいは言われていたでしょうし、タバコが「健康増進薬ではなかった」ことは確かでしょう。

そんな中、「若くて力強いからこそ吸う!」のがタバコであって、「男らしさの象徴!」「仕事に集中している証拠!」「貫禄と男臭さのシンボル!」として使われていたフシがある。

一番上の「ファルコン」はイタリア・シチリアマフィアと闘う実在の検事のお話なんですが、いやそんな書類だらけの部屋でのチェーン・スモーキング、火事のリスク高すぎるぞ、っていうくらいずっと吸ってます。

その下の「砂の器」、邦画の金字塔として輝く松本清張原作の名作なんですが、やはり時代。
丹波哲郎、駅のホームだろうがどこだろうがずーっとタバコ吸ってる。
つけたマッチ、おいおいその後ぽいっとホームに捨てたよな!?みたいな。気になるぞ。

 

そして「やくざ戦争 日本の首領」
この映画にはなかなか衝撃的なシーンがありましたよ。

山口組三代目をモチーフにしたこの映画、大親分である佐倉一誠(佐分利信)が、身体の検査をして、その結果を娘婿であり医者である一宮(高橋悦史)のところへ聞きにくる、というシーンなんですが…。

診察室で、レントゲン写真を持っている医者(高橋悦史)が、もうすでに火をつけたタバコを手に持っている!!

医者が診察室でタバコ吸いながら診察する、なんて、昔はほんとにあったんでしょうかね。

そして、検査を終えてその結果を知った佐倉(佐分利)が、タバコを持ったままガッツポーズしながら診察室へ入ってくる…。

なんで?
お前ら病院でくらい、タバコ置きなさいよ…。

禁煙とか受動喫煙とかいう観点とかじゃなくて、どうしてそんなにのべつ幕無しタバコ吸ってんの??と不思議です。

これもひょっとして「立派な大人である」というメタファーなんでしょうか…。

高橋悦史さんは1935年生まれ。
石原裕次郎と同世代ですね。
この「やくざ戦争 日本の首領」の公開は1977年。

往年の大スター・佐分利信さんは1909年生まれ。
佐分利さんは70前なので良いとして、高橋さんはこの時点で「ブランデーグラス」と同じ、42〜3歳くらいということに…。

ファッション、ロケで映る自動車、「ああ、そういえばそんな感じだったのをおぼろげに知ってるような…」という世代である私も、子供の頃、タバコを吸ってる大人たちに関しては注意して見てなかったですから、映画を通して「そんなにずっと吸ってる…!?」というくらいに当たり前だったのか、と驚いています。

まるで、「メガネをずっとかけてる」レベルだなぁ、と、思ってしまいました。

そういえばうちの母が「昔は会議なんかすると男性全員喫煙なので、服もカバンも、ものすごくくさくなってて参った」と言ってました。
でも誰も文句も言わないし、当たり前のこととして喫煙は、受け入れられてたんですね。
なにせメガネとか絆創膏、くらいの自然な行為だったんですから。

今ならアイコス?電子タバコ?
じょーだんじゃねーですぜ、中毒という意味では、そして受動喫煙で周りに害をまき散らしてるという意味では、同じですよ。

なんにもクリーンでもなんでもないですよ。

JTに言われるままに、あんな機械を手でつかんでぴょいっとくわえて、「最先端のタバコです!」みたいな顔してる人って、無邪気で純粋なんでしょうね。

簡単に騙せる気がします。







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