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徳田神也のblog。理詰め&BLUES。

おんな城主 直虎第四十五回「魔王のいけにえ」

   

 

 

これか…。

信康(平埜生成)の側近による暗殺未遂を防ぎ、驚異の1万石を賜った万千代(直政・菅田将暉)。そして暗殺未遂への苛烈な処断が下される。

この頃、のちの秀忠が生まれたことで、それぞれの世継ぎを推すグループ、つまり権力争いを助長するよくある王権における派閥争いが始まった、と言ってもいいんでしょうね。それでなくても「浜松(家康)」と「岡崎(信康)」と、家来衆による分派は進んでいたんでしょうし。すでに築山殿(瀬名姫・菜々緒)もその一端を担ってた。

現代の感覚から言えば「子殺し」にしか見えない事件ですが、この時代には「親殺し」もたくさんあったしそれは「家を守るため」という大義名分の元で正当化された。実際は「自分が王となる、自分がその側近となる」というようなドロドロした権力欲が渦巻いていたんでしょう。現代の価値観でだけ見ていては理解不能です。だからこそ、ドラマでは「徳川家を想うがゆえに…!」みたいな解釈を、付け加えてある。

もうこうなると、井伊谷や直虎(柴崎コウ)が出てくることに不自然さを感じてしまいますw
家康(阿部サダヲ)・直政(万千代。菅田将暉)・信長(市川海老蔵)と、戦国列強武士が登場してくると、もう「直虎」とか「法久(ムロツヨシ)」とか「南渓和尚(小林薫)」とかが、名前負けしてしまう感…。

 

徳島文理大学教授で歴史作家でもある八幡和郎さんが、こんな寄稿をなさっていました。

「おんな城主・直虎」と違う信康事件の真相
http://agora-web.jp/archives/2029456.html

八幡氏の記事によると、すでに家康と信康の険悪さは「酒井忠次も危険を感じるほどだった」のだそうで、この頃、あんな風に向かい合って二人っきりで碁を打つような状態ではなかったんでしょう。親子とは言え、もはや軍事衝突してもおかしくない関係になっていたと。

信長への謀反があったという報告から、魔王には逆らえず「家康が泣いて息子を切る」しかなかった、という感じが一般には流布しているようですしドラマとしてもそう描いているんですが、本当は、信康を排したかったのは親である家康の方。

信長が「お前の考えるとおりにしてよし」と家康に言った、という記録が残っているらしく、「信康をなんとかしたいんですがのう」と言い出したのは家康なんですね。ここ、親子は仲良くあるべし、という現代の感覚から作られたドラマとは、まったく正反対です。

つまりドラマ内で酒井忠次(みのすけ)に対して家康が発した

まさか…
この機に乗じて
信康を排してしまおうと思うておるのではあるまいな!?

という家康のセリフ、これは、実は娘婿として信康を気に入っていた信長こそが、言いそうな言葉だったってことです。

 

信康を殺そうとしていたのは、ほんとうは家康だった。

「親が子を殺すなんて…」というのは現代の感覚。ということはこの、家康とか酒井とかの会議のシーン、感情的ではあるもののあまりにもでたらめ、ってことです。天下を取った後も家康は、信康を「実は嫡男であったのだ!」みたいな名誉回復をしたわけでもないし、なんだったら「徳川は名乗らせない、松平あつかい」にした。
ドラマでは阿部サダヲさんの快演で、幼少期から「のんびりして快活な殿」イメージを定着させて来ましたが、実際は意外にも「ケチで臆病で陰湿なおっさん」だったんですかねえ。

八幡氏が記事の冒頭で「いまどきこんな見方をする人もいるのかというあほらしさ。」なんて書いてましたけど、まぁ、うん。

八幡和郎氏の著作。

それにしても織田信長は本当に「魔王」だったのか。
だんだん、研究が進むにつれて、「第六天魔王だった」とするのは言い過ぎ、というような真実が浮き彫りになってきているようです。
あまりにも怖く、苛烈で、厳しい王だった、というのは部分的に事実でもあるのでしょうが、部下への労いや根回しの上手さなど、悪魔に乗り移られたかのうような非道な専制君主、ではなかったという説が、強まってきているようです。でもそれなら、急に殺されたりはしないような気もするけど。

史実の結果として信長は殺され、徳川は幕府を作る。ここへ向かう道程は同時代に生きる者は誰も、その正解を知ることはできない。後から見れば、「違う!こうしなきゃ!」とかはわかるけど。

 

それは、現代の我々も同じです。

「ああ、違う、なんでそんな政策をそこで取っちゃうの!!」とか、後世の歴史家は政治家を指弾するでしょう。でも同時代に生きている我々は、それが見えない。

見えるのは、過去の事実だけ。
過去の事実から、「いや、この感情的判断はやはり間違いなのであって…」などを学ぶ。耳目に飛び込んでくるのは偉人たちの話ばかりだけど、そこから、今に共通するエッセンスを抜き取って、今に活かす。人間自体は、変わっていないから。

だからこうして「ああ、ここでこうしてれば!」とか「ああ!こいつがこんなやつじゃなかったら!」とかいう、歴史ドラマの正誤を見ながら、現代にそれを生かしていきたい、と思ったりもするのです。

「歴史は繰り返す」とは言いますが、歴史は、繰り返したりしません。もう二度とちょんまげの時代は来ませんし、もう縄文時代にもなりません。繰り返すのは人間の、成功と失敗です。

できれば人の「失敗」については未来のために、史実にできるだけ忠実に、ドラマ化してほしいなあと思わなくは、ないですねえ…。

 

今回の「直虎紀行」は、ここでした。
「大泉寺」

「坂部城址」

 

 

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