基本的なことと、確認しておくべきこと。
不安や不穏をベースに考えてしまいがちな放射線(放射能)のことについて、柔らかく、解きほぐすように書いてある。
元素の周期表とか、親切に載せてくれてあるし(これめちゃ便利)。
でも、やっぱり挫折する人もいるだろうなぁ、というのが正直な感想です。
この本の副題は
「いま知っておきたい22の話」。
その22個というのは、以下の通りです。
第一部 放射線ってなんだろう
1 みんなつぶつぶでできている――原子と原子核のこと
2 放射線はやるせなさエネルギー――α線のこと
3 電子ビューン――β線のこと
4 光って、つぶつぶ――γ線のこと
5 ダイスをころがせ――半減期のこと
6 からだのなかの放射性物質――生物学的半減期のこと
7 単位と大きさのこと
8 ベクレルってなに?
9 ふたつのシーベルト――等価線量と実効線量
10 何を測ってるの?――空間線量率
11 食べたらどれくらい内部被ばくする?――預託実効線量
12 ここまでのまとめ
第二部 放射線とわたしたち
1 気になっていたことをこの際、聞いてしまおう
2 放射線ってどういう影響があるの
3 遺伝子と放射線のこと
4 放射線とがんのこと
5 母親も、将来母親になるひとも
6 子どもの甲状腺がんのこと
7 核実験の時代――むかし降った放射性物質のこと
8 まわりにある放射線――自然放射線のこと
9 除染してわかったこと
10 放射線とわたしたち
「いちから聞きたい」んですけれど、ほんとうに「いちから」わかろうとしたらやっぱり、中学生からやり直すしかないか。
しかも、「わりと賢い中学生」になるしかない。
元の、アホ中学生からやり直しても、たぶん同じですから。
なので、「聞きたいのはどこか」を絞ると、例えば「もう、何食べても安心なの?」であり「汚染はないの?」であり「病気にはならないの?」「遺伝しないの?」であり、ついでに言えば「じゃああの、いまだに“フクシマには人は住めない”って言ってる人らっていったいなんなの!!??」なんですよね。
ただ、そこを「こうです!」とただ言い切るようにだけ書いてあったら、それって、デマと等価になってしまう危険性も、あるでしょう。
「科学的にさ、原子ってさ、電子がさ、半減期がさ」と、基本からきちんと掘り起こして根拠を示して、「だからあれとあれがデマで、これがほんとう」というのを、自分自身で判断できるようになっていなければならない。
とても役に立つ本です。
だけど少しだけ、私は「分かりにくい」とか「そこが太文字じゃないのはおかしい」と感じました。
なぜかというと、これもまたややこしい話ですが、「個人個人によって、放射線や科学に関する情報は、まだらなグラデーションのように偏っている」からだと思うんですよね。
ああ、それは知ってる!え!それは知らんわ重要ちゃうの!?など、既知と未知が人によって違うから、感じ方が変わってくる。
これが、結局「基礎的な科学知識」がしっかり脳内に横たわっていないことの影響だし、風評被害を異常に広げてしまう原因だし、「いちから聞くこと」の重要性だと思いました。
だって、まだまだ、普通にナチュラルに「福島産の野菜は避けてる。当たり前やん!」ともう、至極当然のように、ちょっと「ね、意識高いでしょ?」みたいな顔で言う主婦とか、めちゃくちゃたくさんいるんですよ??
久しぶりに原子の話とか読んで、聖闘士星矢の「原子を砕く」という破壊原理を思い出してクラクラしながら、ムカムカしたりしました。
わかったような顔するのも、よくないし。
そして、あとは、キクマコ先生の「あとがき」に書いてあった、この2冊を読むことにしたいと思います。
ああ、あと、これも読んでおきたい。