おんな城主 直虎

おんな城主 直虎第十三回「城主はつらいよ」

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やっと観れました十三回。

やはり瀬戸方久(ムロツヨシ)は不思議な人物。
井伊谷を救う商人として、伏線が回収されましたね。

豪商として名を上げる人は結局、出自不明な人も多いみたいです。のちに瀬戸方久は、新田義貞の末裔である、と新田氏を名乗るそうですが、それとてほんとかどうかは確認のしようがない。

なんだか、テレビドラマとしてはしょうがないとは思うものの、村人が「徳政令をお願いいたします!!」とお願いするなんて、ちょっと鼻白むなぁ、と感じないこともなかったです。

最近ドラマを見ると「絵解き」みたいなパートって多いですよね。画面に、CGで説明の文字が出たり。いや、何も悪いとは思いません。でも断言できるのは「自分にとって後々まで心に残る、一生の名画と呼べる作品には、絶対にそういう絵解きは登場してない」という厳然たる事実。

 

つまり、「どうやって説明するか」なんですよね。

感情表現や成り行きなどは、役者さんの名演で説明できることがある。でもそれすらも許さずに、全部誰かに説明させる、懇切丁寧なドラマが多いような気がします。わかりやすさ優先。ナレーションで、テロップで、CGで、絵解きで。

コミカルな「ブラタモリ風」な絵解きは、瀬戸方久(ムロツヨシ)登場シーンでだからこそ可能な逸脱だったのかもしれません。あのパターン、全編でやるなら、もう俳優の演技力なんか必要ないような気もするし。

ムロツヨシが面白いという理由だけで見ていられる「宇宙の仕事」

 

好演が光る俳優陣の中で、やはり高橋一生さんの小野政次は出色ですね。あの人だけ、「そんな感じだったんだろうな」というくらい、普通のテンションでしゃべっている。時代劇って、みんな「殿!そうでござるか!」「姫は悲しゅうございます!」みたいな、そんなイメージでしょう。

いくら戦国時代だからとはいえ、たかが500年前。人間、日本人のテンションが、そんなに変化するわけがない。たぶん、「ござる!」「われのせいで!」とかいうことは無いことは無いでしょうけど、そーんなに四六時中、気張って無いと思うんですよね。というかそういうことになりがちな他全員とのギャップを、見事に感じさせる小野政次(高橋一生)の冷徹さ。

 

さて、徳政令ですが。

徳政令は、大河ドラマ「おんな城主 直虎」だけでなく、井伊直虎について書かれたものを見ると、必ず出てくるエピソードなんですよね。武人でもなく有名でも政治家でもなかった、名家とはいえ地方の領主に過ぎない、小さなエピソードです。

「徳な政令」ですから、どうぞ徳を高めるような命令を出してくだされ、つまり借金をチャラにしておくれ、ということなんですが、厳密にいうと、「徳政=徳が高まり人気を得るような政策」と、「徳政令」は違うようです。

そもそもこの「徳」という字には「元に戻す」という意味があります。乱れきった世の中を「元に戻す」ことで、治安の維持や、政情の安定を図った。

あの乱れに乱れた時代に行われた、後醍醐天皇の「建武の徳政令」が有名です。

でも、農民が、戦で困った末に借金をする。→武士が借金をする。→金は商人が貸す。→困窮する。→徳政令を出す。→借金がなくなる。→天下泰平。いやいやwwそんなわけにはいきませんよね。

この頃は、織田信長も出て来て「経済を制すものが天下を制す」ということが、じわじわ広まっていきている時代でしょう。
「楽市楽座」をした方が、全体的な経済は豊かになる。
それによって、農民を農閑期に駆り出していた徴兵から、「戦闘専門集団」を養える財力を得る。それがわかって来た時代。
武田信玄とか上杉謙信とかの兵は、刈り入れの時期が近づくと兵がそわそわし始めるのです。

いくら身分のやかましい時代だからとて、武士が困ったから商人に「借金をゼロにせよ」と命令を出しても、それでは領主の威厳は保てない。だいたい、命令を出さないといけない、ということ自体が、瀬戸方久が言っていた通り「マネー・イズ・パワー」だということの証なのですから。

もはや、徳政令を出して農民から一時的な人気を得ても、領主の威信は現実的に保てなくなって来ている、ということですね。だからこそ「城主はつらいよ」であると。

それにしても領主になって初めて直虎は、民草の苦労を知る。
「こんなにも…」と嘆く。お前、今までなんのために托鉢してたんだww!

結局、今川の「徳政令を出せ」たる命令には逆らえないはずです。
逆らって出さない、ということが出来るほど、今川はまだ弱くない。

しかしこの頃、あの少年だった人質はもう松平元康から「家康」に名を改めています。
今川義元の「元」の字を、捨てたということですね。

ああ、「徳政令」というなかなか地味ですが乗り越えるしかない危機を迎えた主人公たち。

 

 







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